3.警視正ルグラースに纏わる事(中)
今回、警察が立ち入りを行なった地域、そこは開拓以前より悪い噂が絶えず、欧州渡来の人間が近づくこともほとんど無くて、放置同然の場所だった。隠された秘密の洞窟の中には地底湖があるなどと言われていて、なんでも、光る眼をした巨大で不定形の白くぬらつく触手生物が生息するという。そして、本件の被害者たる
赤く揺らめく光の方へと向かう、鈍く弱い
「Ph’nglui mglw’nafh Cthulhu R’lyeh wgah’nagl fhtagn.」
ようやく、茂みが途切れた。そこで警官達は、いきなり
と、まあ、これは誰かの作り話か、あるいは事実が誇張されて広まったもの、というオチがつく場合があることを
余談はともかく、警官達の恐怖による思考停止はかなり短い時間だったようだ。職務は即座に遂行された、と言っていい。その宴の参加者らは100人ほどだったようだが、警官達は銃火器に物を言わせ、唾棄すべき人混みの中へと踏み込んでいった。騒音と混沌に満ちた、筆舌尽くしがたい5分間――一方的な殴打、銃撃、それらからの逃亡が
激しく
彼らは崇めている、と証言した、人類が姿を
などとやっている間に、語るべきことは無くなった。拷問によって聞き出せることなど、この程度なのだ。とは言え、人類は地球にある意識体として正しくは、孤立無援ではなかったということだ、
「Cthulhuは死して待つ、夢想のままに、R'lyehの都にて。」
逮捕者の内、絞首刑が成立するほど正気だったのは2人、残りは皆、多様な施設にそれぞれ収容されていった。その誰もが儀式中に行われた殺人に携わったことを否定、実際に手を下したのは不気味な森に遥か昔から住まう黒い翼のモノどもだと訴えた。だが、そんな謎に満ちた共犯者についてまともな説明など出来るはずもない。警察が聞き出した情報の大部分は、カストロと名乗る非常に高齢のメスティーソ(主にスペイン人と先住南米人とに血縁ある個人を指す)が
そう、この年老いたカストロの述懐こそが、神智学者達の考察も色褪せる、人間と世界の斬新な捉え方を示す、おぞましい伝説の断片だった。人ではないモノが地球を支配し、巨大な都市を治めていた
カストロは続けた、「
で、カストロが虚ろに語ったように、草創期の人間達は大いなる
CTHULHUの呼び声 君河武彦 @Takehiko-Kimikawa
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