日露戦争が昔ではない時代の日本。アイスクリンの一匙はご馳走。鎮守の森には、蛇神の棲まう深緑の沼。今の時代にない昏さは魅力。でも。いつの時代でも変わらない男と女。激しい情念を孕んで、怒る、惑う、狂う。表面上は静か。それがとても恐ろしい。為す術もない哀しい女。愛してしまったが故に破滅する男ら。愛とは言えない憧れが…不幸を招いたのか。ホラーを帯びたミステリー。じっとりと冷たく濡れるような素敵な昏さがお好きな方にお勧めします。
とにかく全てのシーンが映像で頭の中で再現されるほどの緻密な描写はさすが朝吹さまだなと…アイスをご馳走してくれる老婆が親切なだけでなくなんとなく怖さを感じさせる冒頭から横溝正史の世界のような耽美的な事件とにかく美しく切ない物語でした
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