光届かぬ沼の底。沈みゆくのは男の情念。

日露戦争が昔ではない時代の日本。
アイスクリンの一匙はご馳走。
鎮守の森には、蛇神の棲まう深緑の沼。

今の時代にない昏さは魅力。

でも。いつの時代でも変わらない男と女。
激しい情念を孕んで、怒る、惑う、狂う。
表面上は静か。それがとても恐ろしい。

為す術もない哀しい女。
愛してしまったが故に破滅する男ら。
愛とは言えない憧れが…不幸を招いたのか。

ホラーを帯びたミステリー。
じっとりと冷たく濡れるような
素敵な昏さがお好きな方にお勧めします。