第51話 新しい始まり


あのあと正式に王家から、婚約の打診がきた。

未来の進路を今決めるのは、と前世の記憶から一瞬悩んだが

「もし即決が難しければ学園を卒業までは、まつ。様々な世界を見ても王妃という地位につくか真剣に考えてほしい」

と殿下が提案してくださった。


申し訳ないが、いろんな野望があるから卒業まで判断を待たせてもらうことにした。

野望といっても、世界中に留学して、繁華街とかダウンタウンに行ってみたいとか、会社の経営を考えてみたいとか。


高すぎる地位は自由な行動を邪魔するのだから。せっかくお金があるんだからいろんな経験したいよね。


学園では、実は社交会前に行っていた結果の順位が張り出される。

順位ごとにクラス分けされてて、1〜15位がAクラス。

私は...3位か

300人中の3位なのだから、十分なおだろうけど、悔しい。小学校の時みたいに変なところでミスしたのだろう。

今回は3位か。乗馬のときもそうだけど、ここまできたら1位目指したいというか。前世の記憶ハンデがあるって思ったなおさら。



1位はシウス様。

王族なだけあって幼い頃から英才教育を受けているのかな


2位のグレイス、15位のアーサーはどっかで聞き覚えがあるような。


「アーサー、これ見て私が2位であなた15位よ」

「クソっ、また負けた」

「まだまだ私には敵わないわよ。でもギリギリで同じクラスよ」

「納得しきれないが、それはよかった」


「あら、リリアンナ様」

その声を聞いて思い出す

乗馬大会の2人だ。

「お久しぶりですね」

ニコッと話しかける。

ここは学園だから猫かぶりをしとこう。

前と話し方が違って気持ち悪いだろうけど。


「リリアンナ様ってビアンカ様のもとで論文も書いた、公爵令嬢であってますか?」グレイスさんに聞かれる

「えぇ。」

「まさか、公爵令嬢だったなんてびっくりです」

アーサーが目をパチクリさせてる


「あそこだと、平民の方が多いから、貴族も話し方を変えていたりするものね」

「でも、姿勢や服の生地の質から、貴族か大富豪の家の子供だということは分かりますのよ。それと、話す速さから、貴族なのか平民なのかも分かりますの」


そんなところで見分けられるのか、

貴族の中ではそこで見分けることはあまりないから平民の家なのかな

言われてみれば、たしかに2人は私より少し早口な気もする


「ということは、あなた方は商人の家の子だったりするのかしら」

この世界でのお金もち平民は大抵商人の子供なのだ。もちろん芸事や職人で稼いでいる人もいるがほんとに一握りしかいない。


「そうですね。ここでは貴族も多いので丁寧な口調でゆっくり話すように意識してるのですが、普段の癖が出てしまいますね。」


「それと、その商人つながりで情報を教えてもらったり人脈を広げさせてもらったんです」


いきいきと話すアーサーによると、

乗馬大会でであって、そこから意気投合し、

新米の商人であるアーサーの家が、中堅であるグレイスの家に助けられているらしい。

2人の結婚話も出てきてるだか、出てきてないだからしい。


なるほど、もともとの性格に、家の歴史や客層の関係もあってか、グレイスの方がアーサー以上に貴族らしい所作が求められてるのかな


てか待てよ、グレイスには、乗馬も勉強も負けてるじゃん。やばい、火ついちゃった気がする。

「アーサー、グレイスに負けたもの同士特訓しませんか?」

軽く提案してみる

「あー...えっと」

立場的に断りにくいか?

「別に断っても全然大丈夫ですよ。学園では、家の地位は関係ないのですから」

実はこの学園では視野を広めることを目的に、家の地位に関係なく関わることを推奨してる。実際今日も、新たな発見もあったし。


「では、4人で特訓するのはどうでしょう?」

「そうしよう」

「そうだな」

グレイスの提案に、アーサーとシウス様がすぐに答えた



○●○●

「グレイス、まじ助かった。リリアンナ様が俺に提案してきたときの殿下の殺気がすごかった。それで、断ろうとしたら、リリアンナ様を悲しませるなんて許さないって圧がすごくて、頭真っ白になっちまって」


「アーサーはまだ私には敵わないわね。殿下に初日から目をつけられるなんてたまったものでもないしね」


「というか、殿下はかなり惚れ込んでるよな」


「そうね」

ここでは、2人で笑い合って、いい感じの雰囲気がしばらく漂っていた


●○●○

とにかく今の順位が悔しい。乗馬も勉強も他のこともこれから頑張る。


一方、リリアンナは対抗心でメラメラだった


さて、リリアンナが学園卒業までに、殿下とグレイスを超える日は来るのだろうか?

                おわり


○●○●

初めての作品で矛盾点や違和感も多かったと思われるこの作品をここまで読んでくださった皆様には感謝しかございません。 

そして、執筆時にたくさん応援してくださった武尾さぬきさん、七瀬莉々子さん本当にありがとうございます!!


また、ほんとはこの先の学園生活や魔法を楽しむ姿、卒業後、何なら夢に向かって生き生きしている姿、殿下との関係、王妃になるのか、そして過去のこと話せるような一生をともにする友も書きたかったのですがあまりにキャラクターが暴走してしまい想像以上に話が膨らんでしまい、エネルギー消費が大きくなってしまったので、読者の方々に想像を膨らませていただきくかたちで完結にさせていただきます。


 ただ、人の頑張っているところを見ていると自分もやりたくなる3日坊主なので、他の方の作品を読んで書きたい熱が高まり、少しづつ作品が増えてるかもしれないです。5年後とかにふと、はちゃめちゃな、結局1位にならないまま終わった物語があったなと思い出すことがあった際はちょろっと覗いてくださると嬉しいです。

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悪役令嬢だって忙しい 有海 彩火 @anna_smile_2525

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