第50話 ついに始まります

「2日間あっという間だったな」

「ついに始まりますね、シウス様」

シウス様が上から下までさっと目を通した。

なんだ?どっか変なのか


「どこかおかしいですか?」

「そんなことは、ない。かわいい」

「そうですよね。このドレス。今日のために新調したんですよ。殿下も緊張してるんですか?」

王族なら、人前に出るのは慣れていそうなイメージあったけど、そんなことはないのかな?

「まぁそうだ」

なんか安心したかも。でもまだバクバク言ってる。



大人たちが先に会場へと入った後、本日の主役となる子どもたちが下の地位のものから順にレッドカーペッドをあるき会場へと入っていく。

もちろん私達が最後だ。


シウス様と息を合わせ、一歩一歩進んでいく。周りの視線が突き刺さる。殿下にこんな女は似合わないとか言っているのかな。私達が入場してから、よりざわざわしはじめた気がする。


お偉いさんたちのお話を聞きおわり、ダンスが始まる。もうすでに疲れた。なんというか精神的にきてる気がする。


「リリー、一緒に踊ってください」

改めて見ると、キラキラしてる。なんというかスタイルも顔面もいいし、オーラが違う。なんというか周りが華やか。

「喜んで」

こう言いつつも、お前なんか殿下の相手にふさわしくないって集中砲火を殿下を貴族たちから受けそうで怖い


生のオーケストラの演奏はやはり気持ち良い。踊ってて楽しい。練習どおり難なく終えた。

「リリーと踊れてよかった」

「わたしもですわ」

踊り終え、お互いに礼をしてから、腕を組み壁際に動く。


なんとか必要最低限は終えた。

ほんとは、お偉いさんのお話さえ聞けばいつでも帰っていいんだけど初の社交会では最低1曲踊らないといけないんだよね。


帰ってからはビアンカ様に合格点が出された。論文を出したこともいい意味で反響をよんでたらしい。


●○●○

※殿下視点


「2日間あっという間だったな」

「ついに始まりますね、シウス様」

やばい、可愛すぎる。ここまで着飾ってやっと気づくなんて、俺の目節穴すぎる...

お団子にまとめられて見えるうなじ、すらっとした足。歩くたびに髪飾りとドレスがキラッと輝き、顔を華やかにさせている。


やばい、耳も顔もあつい。

「どこかおかしいですか?」

「そんなことは、ない。かわいい」

ちょっと噛んじゃった


「そうですよね。この今日のために新調したんですよ。殿下も緊張してるんですか?」


「まぁそうだ」

はぁ〜

そんなつもりで言ったわけじゃないんだが。

もう、会場に入る番だ。


(なんて美しいのでしょう。)

(大人顔負けの優雅な動きだわ。)

(あの、有名だった噂は嘘のようね。)

(オーラが違う。華があるわね。)

(かわいい。あわよくばお近づきに...)

(この年であのビアンカ様監修の論文も出しているなんて。)

(頭も良いのでしょうね。)


あちこちから、リリーを狙う声が聞こえる。

ーぎゅ

少し手に力が入ってしまった、まだ顔には出ていないはず


そうこうしている間にダンスが終わってしまった、つかれているようだ

「軽食でも食べに行かないか」

「いいですね」


(ほら、誘ってこいよ)

(そんな、おそれ多い)

(グズグズしてると、他のやつにとられちまうぞ)

(馬鹿、殿下の殺気がすごいぞ。やめとけ)


こんな感じの会話があちこちから聞こえる。

少し近づいておこう。



ふー、帰るまでなんとかリリーの隣を死守できた。


もうすぐ学園が始まったら今日の比ではないだろう。もう不安だ。今動くしかない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る