間宮はお金に困って、三ツ橋という同じ大学に通う彼からあるアルバイトを紹介されます。
何でも体験したオカルト体験の記憶を売るというとんでもないもの……。まず最初に間宮は階段の怪異と遭遇するのですが……。
各題名になるお話は読み応えのあるホラーです。本当に読んでいてドキドキしましたし楽しかった……!
最後の章で明かされることは、各章にある反応や物が伏線となってやっと明かされるもの。
最初はどんなホラーになるのだろうと思い見ていたら、最後に見てなるほど!
と頷いてしまうものです。
読んでみてはいかがでしょうか?
確かに幽霊と怪異は怖いです。でも本当に怖いのは生きてないものではなく──
特に親しくもない友人に誘われた不気味な雇い主からのアルバイト。それは心霊現場や事故物件等で恐怖を体験するというものだった。
主人公間宮を通じて読者も恐怖を体験するという連作短編かと思いきやラストに集約されるしっかりとしたホラー長編でありました。精神的ホラーは読者(視聴者)を裏切るひっくり返された恐怖が醍醐味でありますが、この「怪蒐師──かいしゅうし」も紛れもない精神的ホラーでありました。読み進めていけば恐怖の伏線を「回収」し、ラストの真の恐怖を体感できることでしょう。
ホラーに興味のある。ホラーがお好きな方でまだお読みになられていない方にオススメいたします。
映画評論家であり悪魔主義者である高橋ヨシキさんは、昔ある番組で確かこんなことを言っていた。
「人間にとって本当に怖いのは、不条理です。だから、ホラー映画でその不条理を上手く描いたものは名作なんです」
仰るとおりである。
確かに、古今東西の名作と謳われるホラー映画が主に描くのは「不条理」がもたらすホラーなのだから。
変なビデオを見ただけで、何で一週間後に死ななきゃいけないの? キャンプに来ただけで、なんでホッケーマスクの殺人鬼に殺されなきゃいけないの? 善意で孤児の里親になっただけで、なんで猟奇的な呪いにかからなきゃいけないの?
誰しも一度は思ったこと、ありませんか?
さて、閑話休題。
この作品は、良質なホラーである。
主人公・間宮は、大学で同じ学部だけれども一度も話したこともない三ツ橋という人物から、怪しげなアルバイトを紹介される。
そして、イスルギと名乗る怪異の体験を売り買いする男と出会い、高額な報酬と引き換えに怪異と遭遇していくことになる。
あらすじは、ざっとこんな感じだ。
正直に言おう、これこそ「不条理を上手く描いたホラー」である。
主人公にしてみれば「アルバイトしにきただけなのに」である。
スマホを落とした、変なメールを受け取った、謎のゲームの参加者になった的なものではない。
自身の何らかの過失ではなく、三ツ橋というほぼ赤の他人からもたらされたものから、世にも恐ろしい目に遭っていくのだから。
さて、書くとネタバレしてしまいそうなので、書くのはここまでにしておこうと思う。
最後に、レビューを書いたやつから一言。
良質なホラーは、いつだって人を裏切る
この「人」とは、この物語の主人公・間宮のことか、それとも、この物語を読むあなたのことか?