第2話

呆気にとられていた僕は、ふと冷静を取り戻した。ある疑問のせいである。視点を二段ほど上にあげて状況を見るに、スマホを投げた僕、そこへ飛び込む少女、この二つに何ら関係性がないとは言えず、又あると仮定した場合、人々の頭に浮かぶのは主従関係か、あるいはより複雑な関係性・・・。ともかく、人聞きの悪いものであることは、火を見るより明らかだ。


僕の目の前には、即時解決しなければならない問題が聳え立っている。これをどう取り扱えばいいものか、悩む余裕すら与えられないことを苛立たしく思いながら、しかし早急な答えは無慈悲に要求される。万事休す。心臓がそわそわと鼓動している。弁明か、行動か、それともなにか、なにかが必要なんだ。


諦めようと俯いた刹那、一つの考えが脳裏をよぎった。僕も飛び込めばいいのだと。もう思案している余裕はないように感じた。動物のように、浮かぶ事柄がそのまま手足を先導した。


ちょいと後ろへ下がってから、一歩、二歩、三歩で跳ねた。欄干がハードルへと変化し、続いて少女が満足そうな表情をしているのが、目に映る。オレンジを湛えた世界が、上空へ流れ、下を覗くと、左右に分裂していた。いずれ地獄とご対面するはめになるのだろうと思った。


ばしゃーん。着地失敗。着地のことを考えていなかった。

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雪崩に巻き込まれたなら 相田田相 @najiroku

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