何もかもをも失った彼女の、魂の救済と成熟の物語

大変面白かったです! そうでなければレビューなんてしません! レビューは下手ですが平にご容赦ください。

しっかりとネタバレなんでご留意ください。閲覧は自己責任で。






東京から遠く小樽に降り立った主人公の浅倉凛。そして彼女の働く喫茶「お散歩」の面々。この喫茶店の面々が実に無遠慮で厚かましくて凛には我慢ならないほど騒がしい。
やがてその理由が判明する辺りから少しずつ凛の、そして周囲の人々の秘密が、隠し事が、失われたものが、そしてそれらに伴う苦悩が明らかになっていきます。
その謎を追う手が止まりません。この謎の配置が絶妙で後を引きます。次々に次の話次の話へとクリックをしてしまいました。そして次第に謎は“事件”へと変貌してゆきます。

何度かのカーチェイスだけでなく剣呑なシーンもありますが、最終的には苦痛に満ちた凛の半生の救済と成熟のストーリーとして穏やかに完結していきます。

個人的には、ですが、最初少し読み難いなとは感じましたが、それを超える面白さで、すぐに慣れあとはもうすっかり作者様のペースに乗せられたという感じです。できる事なら★七つをつけたいくらいです。表現力も豊かで、重厚ではっとさせられる言葉も多々ありました(『過去は清算するものじゃない、背負っていくものです』等)。

基本読みやすいのでこの機会にお読みになるのはいかがでしょうか。