物語は、冬の美しい北海道から始まる。
男性主人公は、過去の出来事から陰りと憂いを含んだ悲しき青年。
女性主人公は、陽春のように優しく、残暑のように厳しく、青年の心を包み込む女子学生。
周囲には個性的な面々が登場して、物語に彩りを与えてくれる。
男女は、紆余曲折の果てに何を見つけて、どこを目指して歩いていくのか必見。
登場人物たちの会話で、一笑してしまうことが多く、会話文表現の高さが随所に表れていますし、哀愁を漂わせる会話内容であっても、笑わせてくれる箇所もありますので、落ち着いて読み進められます。
背景も細かく描写されていますので、その場に自身も存在しているかのように思えて、物語に強く引き込まれます。
――愛されたかった者は誰だろうか。
――変わりたかった者は誰だろうか。
一度、本作品の世界に入り込んでみては、いかかでしょうか。