タイトルでだいぶ損してる

良くある美少女インフルエンサー助けて身バレからのダンジョンバズり配信系作品かと思いきや……1章と2章の急展開で読者の反応が分かれる作品だと思います。
逆に2章以降が趣向に刺さる読者だと、タイトル&あらすじでスルーしちゃいそうなのが少し損してる気がする。
ただそれこそが読者に対する盛大なアンチテーゼ狙ってたのだとしたら、と言うか多分絶対狙ってそうな作者様のセンスがヤバいですね。そう言うの大好きです。
主人公&ヒロイン?の死生観が1章から少し特殊に描かれていたのが作品自体のフラグでしたね。

作風がややアングラ傾向にあるので、感想も面白い!続きが気になる!より、引き込まれる、結末が気になる、って感想を抱く方は多いんじゃ無いですかね。
個人的に昔の2ちゃん小説を思い出すと共に、性癖、趣向がオープンにし易くなった昨今だからこそ見付られた作品だと思いました。
読者を選ぶ、って程尖っては居ないと思いますが、ある程度価値観や展開に対する寛容さと言うか耐性が無いと途中で辞めてしまうかもしれません。
私も刺さった読者側ですが、読んだ感想としては高揚感より登場人物達に対する忌避感の方が強いです。(理由は後述)
良くも悪くも登場人物達の感覚というか価値観が鈍くなっていってるのが、少し気味悪い反面作品に旨味を出してると思います。
妹の「アンデット化してからの方が兄はイキイキしてる(要約)」発言も、私は妹ちゃんも良い感じに兄に狂わされて来ちゃってんなーと…。
何というか登場人物全体的にナニか伝染と言うか停滞感と言うか、不可視化で何かが進行してる気味悪さがあります。
世知辛い現実を生きてる小市民な読者だからこそ感じる気味悪さと言いますか。多分現実じゃ絶対受け入れられないし、二次元だと分かってるから読める作品。

作品読む楽しさって、爽快感やハッピーエンドは勿論ありますが、自分の中には全く無い、想像さえしていなかった新しい価値観を認知した時の恐怖や忌避感も癖になるんですよね。もしくは自分の中にあるけれど表には出せない、口には出せない趣味趣向や価値観への同調。
勿論後者は出来れば目を背けたい部分もあるし、読むのもしんどい部分もあったりしますが、何故かハマってしまうのも人の性。

個人的に1章でリンネアとお喋りしながら黙々ダンジョン攻略してた頃のが、読んでてストレスや気持ち悪さは全く感じなくて普通に好きな作品としてフォローしてたと思いますが、レビュー書くほどのインパクトは感じなかったと思います。
ただ本作は刺さるけど読むのに気が重くなる要素も多量に含んでいるので、読むなら一気に読むのをおすすめします。
途中でインターバル的な明るい話が挟まればまだ良いですけど(ある意味掲示板回が雑味やおふざけ含めた息抜き回とも言えなくもない)、今んところ2章以降は下り坂突き進んでるので、最新話までの読了後の爽快感は全くありません(笑)
正直読んでてしんどい部分がありました(笑)
でも引き込まれるし完結まで追っかけたい作品ですね。
他作品名を出すのはマナー違反とは分かって居ますが、「絶○の世界」を始めてネットで読んだ20数年前の読了感を思い出しました。秘め事への忌避感と興味で、読みながら読者もしんどく、でも結末が気になって最後まで読み進めた、あれのしんどさを10倍マイルドにした印象です。
長々と失礼しました。

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