信頼は世界を広げる

好きではない海水浴も、メガネも、ツカイさんとの出会いで、ステキなものへと変わっていく。引っ込み思案のかおるが、さまざまなものに目を向け、好奇心と探究心で目を輝かせている様子が、温かな言葉で表現されている。オノマトペも色彩も効果的。冒頭の描写からも、眩しい光が、海の中では、泡に守られているので、寒さも感じていない。海辺のきらめきに心惹かれながら、一歩を踏み出せなかったかおるが、ツカイさんに導かれて、海中へ行き、初めての、そして、予想もしない経験をしたことで、それまで、かおるの中に眠っていた「豊かな感性」が目覚めた。ラストも印象的。かおるもツカイさんも、この出会いをずっと忘れないだろう。
心温まる逸品。