痰カス

人生は実に面白くない出来事の連続である

　先日、詐欺に遭いました。

　きっかけは、他人を救うためのちょっとした人助けに乗っかったことだったのですが、実はその困ってた奴もグルでして、あれよあれよのうちにマインドをコントロールされ完全に騙されました。

　脳みそが溶けている状態で仕掛けられると、何も考えずに引っかかってしまうモノです。おまけに、俺は被害者の例に漏れず引っかかるワケがないと思っていましたから、そういう驕りもあったのです。

　しかし、何かを思い込む時点で割と頭が悪いということは、冷静に考えれば当たり前の話です。カモられてから学ぶか、誰かから学ぶか、ワクチンは二つに一つからしか得られないというモノです。俺は前者でしたけど、オススメはやはり後者ですね。

　被害総額は60万円（ひぇ〜！）。

　そのくらい普通に返せるとか、一年我慢すればなんとかなる、みたいなことを言う奴は金銭感覚が狂っています。パンピーからすれば、必死に節約して色んなこと我慢して、そうしてようやく貯まる額です（そんな額詐欺られてんじゃねーッ！）。

　とにかく、だまされて金を盗まれるのはとても辛いことなので、みなさんは俺の無様で情けない生き様から学び、損をしないように気をつけましょう。

　……なんてことを、会社のロッカーの番号を何者かに勝手に変更され、管理職が出社しなければ帰れなくなった夜勤明けのam5に書いているのですが。

　今年は本当に一つも碌なことがないゴミみたいな一年だったので、せっかく出来たこの一時間程度の余暇に、少し形而上学的なことでも考えてみることにします。

　俺の一番の幸せは、日曜の昼間、風呂に45度の熱めな湯を張り、ゆずの香りのバブを沈め、その中でブルーロックとMFゴーストを見てから、体を冷ましつつ炭酸水を飲んでらんま1/2を見ることです。

　なんか、チョイスが本当に古のオタクって感じでモダンにコンプレックスを抱えていると思われても仕方ないラインナップであること甚だしくはあるのですが。

　要するに、リアタイで追ってるアニメを風呂の中で見てるときというワケです。昔からずっとそうです。これ以外に何があるのかと聞かれても、返す趣味を俺は持ち合わせていません。

　つまり、逆に言えば、根源的な幸せである『安心』を感じた記憶がないということです。具体的に言えば5年くらいです。自分が誰かに必要とされているとか、この人のためなら頑張れるとか、アドラー心理学でいうところの目的論的な、人として存在するための欲求が満たされた覚えがないのです。

　それでいいのか、俺君。

　そんな疑問が遥か彼方宇宙から聞こえてくるようですが、よくないのでラブコメを書いています。誰かに必要とされたいという至極まっとうなコンプレックスこそ、俺の創作意欲の根源であることが、自己分析から明らかになったワケでありますな。

　まだ帰れそうにないので、もう少し与太話をします。

　こんな感じの不幸の連続を知っている俺のリアルの知り合いは、こぞって「お祓いにいけ」だの「呪われてる」だの、好き勝手に俺の生まれ持ったか細い運をこきおろしてきます。

　しかし、俺が思うに運というのはポジティブな奴にしか寄ってこないモノです。病気は生活習慣から、事故は不注意から、詐欺は頭の悪さから招いたモノです。事情を説明できてしまうのですから、運なんて言葉で片付けるのはナンセンスと言わざるを得ません。

　個人的な見解ではありますが、運というのは人生において『誰と出会うか』にのみ作用する代物です。幸運だろうが不幸だろうが、他のことは大抵が理由を説明できてしまうモノです。もちろん、俺は出会いについても貧弱ではありますが、とにかく、自分だけじゃどうにも出来ない事象を転がすのが運なのだと考えているワケです。

　つまり、俺が負け組に陥っているのは運のせいではなく、後ろ向きな性格だから何でもかんでも背負い込んで窮地に陥っているせいというワケです。

　そして、最も始末に負えないのは分かっているのにマインドを変えられない自分の性格なのですが。変えられない理由は、この『何でもかんでも背負い込む』という部分なんじゃないかと思います。

　要するに、人のせいに出来ない奴は不幸になりやすいということです。

　自分を棚に上げて人の悪口を言ったり、正当性を事実もなく主張したり、根拠もないのに自信たっぷりになってみたり。こういう荒唐無稽さが無さすぎる人間は、どんどんメンタルを削られていきます。

　人を悪者にしたくないといえば聞こえは良いですが、それで自分がない人間になってしまうのは本末転倒です。とはいえ、性格が悪い方が成功するというのもまた、頭の悪い負け犬の遠吠えにしか聞こえず、この板挟みに悩むのが陰キャの特徴（というか俺の特徴）なんじゃないかと思います。

　ならば、誰に責任をなすりつければいいのか。

　答えは簡単、神様です。

　神様という存在は、責任転嫁の対象です。だからこそ、心の傷が人生に与える影響を無視出来ず、それを回避しようと太古の時代から人々は宗教を生み出したワケです。

　ならば、なるほど。何でもかんでも自分のせいにして背負い込み自殺してしまう日本人に、これほどまで無神論者が多いことにも頷けます。ついでにいえば、自殺してしまう原因もここにあるハズです。

　全部、自分のせい。

　この現実に押しつぶされ、無力感に打ちひしがれ、俺たち陰キャはすべてを諦めてしまうワケですな。

　なので、もう少し神様を頼りましょう。いずれにせよ、何かに依存し過ぎるとロクな目に遭わないので塩梅は大切ですが、もう少しくらいは神様のせいにして心に余裕を作るべきだと、この一年で俺は思いました。

　アーメン、ハレルヤ、ピーナッツバター。これからは、何かを叶えるための幸運を願うのではなく、自分に起きた悪い出来事の責任を神様になすり付けてのうのうと生きていこうと思います。

　そうすれば、ド陰キャ根暗キモオタおじさんの俺でも、少しくらいはポジティブに切り替えて生きていけることでしょう。

　追伸。

　やはりロッカーは荒らされてましたが、何も盗まれていませんでした。元々何も入っていない俺のロッカーを荒らしたということで、知らないホモがジャンパーにちんぽこを擦り付けている可能性を少しだって否定は出来ませんけど、とりあえずは無事みたいです。

　神様、どうもありがとう。管理職が少し早めに出勤してきてくれたのは、きっとあんたのお陰だと思いますよ。