「国は安楽死を認めてください」

SNSで昨今「国は安楽死を認めてください」というハッシュタグを用いた、言葉によるデモが行われている。
本来の安楽死というのは、不治の病かつ痛みが伴うといった苦しみを断つためのものだと思うが、そのデモには多くの自殺願望を持った若者が、今作の主人公の如く
「はよしにたひ」
的なノリで参加している。
今作を読んだ時、その「国は安楽死を認めてください」デモのグロテスクさを思い出した。
現代において、生きる意味を見失うことは簡単だ。
だからといって何も遺さないことは、死ぬことよりもさらにつらいことなのだと思う。
「エンゼルプレゼンテーション」に参加した面々も、金銭のみならず、生きた証を爪痕として遺したかったのだろう。
そう思わなければつらすぎる。
生き残ることではなく、死ぬことが勝ちの悲しすぎるデスゲーム。
心に傷を負った参加者たちの運命はーー

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