笑顔
いつもの伊勢佐木町本店の6階の撮影ブースで静かに寝息を立てるブッコロー。
その耳元で小さく岡崎が囁く。
「ブッコローさん、ほらとっても綺麗なガラスペンですよ。」
それを聞いたブッコローは、寝息を立てながらもその内容が夢に出てきたのが、ううんと
「岡崎さん、ブッコローさん可哀そうですよ。」
有隣堂のYoutubeを裏で牛耳る女、渡邉が岡崎に向かってブッコローを起こさないように小さな声で岡崎に注意する。
「良いんですよ渡邉さん。いつも滅茶苦茶言われてることへのお返しです。」
岡崎はそう言いながらまたブッコローの耳元で小さく囁くと、ブッコローは身を捩らせながらうーんと苦しんだような表情で
「岡崎さん、渡邉さんちょっといいですか。次のゲストの件でご相談が。」
「ああはい、すぐ向かいます。」
「ブッコローさん、少し離れますよ。」
岡崎と渡邉はプロデューサーとのミーティングの為、未だに寝息を立てて眠りにつくブッコローを置いて席を外し別階に向かう。
誰も居なくなった6階にポツンと一羽置いてけぼりのブッコロー。
その姿を暗闇の中へ隠すようにフッと6階全体の電気が消える。いったい誰が消したのか、誰も居ないのに、いやきっと誰かが居たのだ。
暗闇の中で微笑む誰かが。
岡崎の箱 斧田 紘尚 @hiroyoki_naoyoki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます