28話:エピローグ

 タンたんの処刑はつつがなく執行された。

 『大天使の館』前の大広場で、大勢の天国人が見守る中、巨大なギロチンにセットされたタンたん――その頭が、成す術も無くねられたのだ。

 

 死刑執行を執り行ったのは、他でも無い父親の大天使本人。

 その死刑を望んでいた筈の民衆は、我が娘相手にも容赦の無かった大天使に畏怖すると共に、「やはりこの人物こそ天国の秩序を守るに相応しい」と心の底から思ったことだろう。


 そんな死刑執行を、俺は“竜人族の姿”で『大天使の館』の屋上から眺めていた。

 隣に“本物のタンたん”を添えて――。


「ねぇタツヲちゃん、本当にアレで騙せるかな? ダミーで用意した私の身体、酢漬けのハムだけど……」


「心配すんな。俺が見たゾンビのドラマでも酢漬けのハムを人肉として使ってたし、10年以上『ヴァルハバラ』に来てたお前の顔なんざ大抵の奴らはわかんねぇよ。それに、お前の『擬人化ヒトマネ』でマジで人っぽくなってるし」


 ――そう。

 大天使が処刑したタンたんは、実は魔獣の酢漬けハムだ。

 それをタンたんに『擬人化ヒトマネ』でタンたんっぽく仕上げて貰い、大天使に処刑させたという訳だ。


 これでタンたんが死ぬ事無く、天国の秩序も守られるだろう。

 俺、天才じゃね?


「どうだタンたん、自分が世間的に死んだ感想は?」


「う~ん……別に何も。私はタツヲちゃんと暮らせるならそれでいい」


「ははっ、やっぱタンたんはタンたんだな」


「それは……どういう意味? 私が大好き、愛してるってことでいいの? いいよね? そうだよね?」


「何故そうなる? お前の思考回路は工事中か?」


 全く、困ったヤツだぜ。

 何処かにタンたん語通訳の方はいらっしゃいませんか?

 俺がタンたん語を理解するには、まだまだ時間がかかりそうなんだが……。


「そんなことよりもタツヲちゃん……」


 トンッ。

 タンたんが俺を押し倒し、俺は抵抗せずに押し倒された。

 そして俺の上に、タンたんが「よいしょ」と跨ってくる。


 続けてスルスルと服を脱ぎ始めれば、タンたんが次に発する言葉を予想できない訳がない。


「……子作りしよ?」


「……よし、やるか」





 って、やる訳ねぇだろ!!!!





 そういうのは――もうちょっとだけ後の話だ。


 ――――――――――――――――

*あとがき

これにて【3章:タンたん争奪編】は完結となります。

書き溜めていた話のストックも尽き、内容的にもキリが良いところで終わったので、本作の投稿は一旦ここで止まります。

ここまでお付き合い頂いた読者の皆様、本当にありがとうございました。

重ねてお礼申し上げます。


なお、【4章】以降の展開も構想中ではありますが、別作品も執筆中ですので本作の再開時期は未定となります。

よろしければ筆者の別作品「黒ヘビ少年(血みどろダークファンタジー)」と「1000階旅館(ほのぼの現代ファンタジー)」もご覧下さい。


「続きに期待」と思って頂けた方、作品をフォローして頂ければ幸いです。

(その内しれっと再開するかも知れませんので……)


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【3章完結!!】🍖お肉で始める最強ドラゴン無双🍖 ~ 異世界でハーレム生活を満喫する筈がドラゴンに転生したので、代わりにお肉ライフを満喫します@ヒロインが子作りをせがむ筋金入りのストーカーでした ~ ぞいや@4作品(■🦊🍓🌏挿絵あり)執筆中 @nextkami

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