純粋なる心は純愛なる恋心を生む
- ★★★ Excellent!!!
まるで昔話のような小さな田舎町の夜更けから、物語は始まる。
誰も尋ねてこない雪が降る寒い夜。小さな女の子が薬が欲しいと医者である草世の下へと訪ねてきたのだ。
怪しい。この上なく、妖しい。
しかし、草世は正体に気づいても尚、女の子の言う通りに薬を用意する。
そんな出会いから一転、草世の優しさに好意を抱いた真珠が押し掛け女房となって、舞い戻ってきたのだ。
真珠の明るさ、草世の真面目さで綴られる物語は、優しさに満ち溢れている。
些細な食事のシーンですら、和やかで今にもお腹が空いてしまいそうなまでに暖かい。
一人で食事するよりも、二人の方が美味しい。
当たり前のことのようで、きっと忘れがちなことだろう。
しかし、楽しい時間ばかりではない。
次第に話は薄暗い影が出し始める。
その時に、二人がどう動くか。
思いがどう、うつろうか。
どうか、最後まで見届けていただきたい。
オススメです。