1話 初めの一歩


第114736“事件報告書

 その日は、―――年ぶりに沖縄で初雪が観測されるなど例年では信じられないような1日だった。その日のジャッチメントの頭脳でもある総合指令室(general headquarters)通称G・Hも同時多発テロと隠しようもない信じられない規模のテロ直面していた。このテロは首謀者の名前から――――とよばれるようになった。本件でジャッジメントは――――の死亡――――の壊滅など甚大な被害を受けたが、同中央司令部付部隊を中心に3日で完全鎮圧した。しかし、多数の国民が目撃被害にあっていたためどのような措置を取っても隠し通すことは不可能という結論に至り疑問を持たせる前に、テロ被害の報告日本が国際的に宣伝をしていた日本の安全神話が壊れた瞬間だった。

                           続く



~事件から数年前~


九州阿蘇山近くにあり人口は2万人ほどの高千穂町。県内一の広さを誇る町全体には田んぼが広がり、名所は高千穂峡や天照大神に由来がある天岩戸神社などがあり市は隠れ観光都市として、高千穂の街を宣伝しているが年間観光客は立地や交通網の関係から年間5万人ほどに留まっていた。土地の広さの割合には人が少ない、よく言えば長閑な街そして悪く言えば財政赤字の人が居ない町の端っこにある国有地に”それ”はあった。


 『ジャッジメント西日本中央司令部』(West Japan Central Command)通称W・C・Cその名の通り西日本を管轄し、八王子の『ジャッジメント東日本中央司令部』(East Japan Central Command)通称E・C・Cと共に日本に2つしかない総合指令室の管理下の上級ジャッジメント司令部で、西日本における大規模テロ未遂の制圧や西日本で発生した全ての事件・事故の記録が保管されている西日本の平和の要である。

 昔は、双方の司令部に養成所があったが時代に変化によって東日本中央司令部の養成所は閉鎖され、西日本中央司令部は東日本中央司令部と異なり日本で唯一のジャッジメント育成所も併設されるようになった。養成所ではそこで孤児やジャッジメント関係者の子が3~6年間の間で、実戦に出れる様なジャッジメントとして育てられている。   


 普段は関係者家族の立ち入りも制限されているが、養成所の卒業式の日のみは卒業生の家族の立ち入りが許可されていた。養成所の寮で3~6年間を過ごすため久しぶりの再会の日でもあった。卒業生は新人のジャッジメントの仲間入りに緊張し、その家族は数年間も会っていなかった息子・娘との再会に多少の緊張をしつつも待ちわびていた。


 卒業生は憧れのジャッジメントの仲間入りに喜んでいるものも居たが、そのほとんどはハラハラしていた。何故なら、ジャッジメントは二人一組を基本に活動し、その組分けは卒業式後発表されてからであり一度決まったペアは死ぬまで変更されることはない。全てのジャッジメントにとってペアは、一心同体・一蓮托生の関係になるからだ。


 今日卒業する20人の中には、今作の中心人物になる下神 結衣も居た。結衣にもジャッジメントとして一生を過ごすであろう、ペアが決まる日であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

~群青~少女たちの戦争 群青 @200051qm

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ