嘘でもいいから

神木駿

嘘でもいい

「ねぇ、私のこと好き?」


「別に?どっちでもない」


いつもそんな答えしか帰って来ない。


私があなたをどれほど好きなのか、あなたはちっとも分かってくれない。


曖昧な言葉で心を隠し、曖昧な態度で私を惑わす。


私が気づいてないと思っているんだもの。あなたに好きな人がいることを。


ずっと隣りにいた私には分かってしまうんだ。あなたの視線が誰に向いているかなんて。


私のことをうっとおしく思っているんでしょ?あなたの優しさに甘えて私はあなたの隣りにいる。


もういっそ突き放してくれれば楽なのに。そうしてくれないあなたに私は惹かれていく。


叶わない、分かってるけど叶えたい。


嘘でもいいからあなたから言葉を聞きたい。


私はもう一度あなたに問いかける。


「ねぇ、私のこと好き?」


「別に、どっちでもないって」


あなたの真面目さはときに冷酷な刃を突きつける。


だって今日はエイプリルフール。


嘘でもいいから好きって言ってほしい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

嘘でもいいから 神木駿 @kamikishun05

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ