本作のヒロインはいわゆる「ギフテッド」の子なのだけれど、そのせいもあって思考の跳躍も酷く、落ち着きがない。
著者の技量で大変可愛らしく、主人公を振り回す存在として描かれているけれど、正直こちらの世界(現実)では成人した後、上手く生きていけなかったのではないかと、最終回まで読んで思ってしまった。
これは育児に悩んでいる親のための異世界ファンタジーなのかもしれない。
「この子はちゃんと幸せに生きていけるのだろうか」
ギフテッドに限らず、多かれ少なかれ生きることが難しい障害を抱えている人間はたくさんいる。
でもきっとどこかで、その「障害」が「才能」として花開ける世界があるのかもしれない。
そんな希望に満ちた物語でした。
お約束の、とつぜんの異世界転移からおはなしが始まります。さあ、葛藤と迷いを振り切って、悲しみも苦労もふたりで励まし合って乗り越えながら、タイトルにあるように、最後は伝説のドラゴンに辿り着いて……。
じゃ、なかったー!
めっちゃ元気で前向きで、自分のきもちにまっすぐなヒロインさま。そんな彼女にちょっと戸惑いながらも優しく、つよく寄り添って護っちゃう主人公さま。ラブラブなふたりが異世界で自分たちの暮らしを、なかまを、どんどんつくっていくんです。
そしてふたりの愛らしいやりとり。優しくやわらかな作風とあいまって、もうずっと、にこにこして読んでしまうのです。
あっ。異世界。
もしかしてそれって……転移先の世界のことじゃなくて、ふたりだけの世界……って、こと?