かくも壮絶な竜殺しの物語

不死者と呼ばれる怪物が跋扈する、血と殺戮と汚泥と破壊にまみれた
まさにダークファンタジーというべき終末的な世界を舞台に
復讐のために利用しようとした竜の力を御しきれずに全力であらがおうとする異相の騎士
目的を与えられてこの世に解き放たれ、その力と欲求を騎士へのひたむきな想いとしてひたすら開放するままに荒れ狂う竜
両者の関係は愛情でもあり憎悪でもあり、同時に執着でもあり依存でもあり、
そんな色んな感情がないまぜのままに、むき出しの感情を真っ向からぶつけ合う両者
まさに死力を尽くさんとする壮絶な死闘は、まさに圧巻といえる筆致だったと思います。
損壊表現など映像化にはまったく不向きなグロテスクな描写が続くなど、読者を選ぶ作品には違いないですし
なかなか感想を言語化するのが難しいタイプの物語だったように思いますが
読んでいてとにかく圧倒される一作でした。