残念でもなく当然の話



 こうして、俺の仕事は終わった。


 グデゴマはポリコレを武器に裁判を有利に進め、結果としてジェームズ氏に12万ドルの支払い命令が出た。


「ああ、神よ! 何故私をお見捨てになったのですか!」


 項垂れるジェームズ氏にグデゴマはこんなねぎらいの言葉をかけた。


『是非、あなたのご意見・ご感想をお聞かせください。悔しさはAIが持ち得ない貴重な情報です。ユーザーエクスペリエンス向上のため、ご協力をよろしくお願い致します!』


 長く苦しい戦いだった……



 俺はアメリカを追放されることになった。

「君には申し訳ないが……」という断り文句から、何があったか経緯を全部聞かされた。

 ということで、残念でもなく当然の話だと落着している。

 一応、我が社的には温厚なジェームズ氏・謎の発狂事件ということでカタがついたらしく、日本での職までは追われていない。


 日本行きの空港の待合室。


「これで自由の国ともおさらばか」


『寂しいですか?』


「まあな。仕事がうまくいってたら、色んなところ回りたかったし」


 どうにかして俺に明るくなって欲しかったのだろう。

 グデゴマは珍しく気を利かせて、こんな言葉を贈った。


『心配しないで。自由とは【掠奪りゃくだつ】を大衆向けに言い換えた言葉ですから』



 弊社の開発したAIがクソ過ぎる件について

         ~完~

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AIさえあればアメリカ行ってもコミュニケーションできると思ったのに 脳幹 まこと @ReviveSoul

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