第6話 中位ゾンビ
「よし、これで移動出来るな」
「……驚き過ぎて何も言葉が思い付きません」
瑞稀が呆然とキャンピングカーを眺めながらそう溢す。
その姿を見たソーラは、若干やり過ぎたか……と頬を掻いていた。
「ま、まぁ取り敢えず車の中に入ろう。な?」
「……そうですね。驚いていても仕方ありません! 安全である事が重要ですもんね」
と瑞稀はよく分からない納得の仕方をしていたが、ソーラは突っ込むことはなかったが、少し気まずそうに車の中へと入っていった。
▽▲▽
「わぁぁ……広いですね……! 本当に家の中に入ったみたいですっ! あっ、お風呂もありますっ! ソーラさん、お風呂は今すぐ使えるのですか!?」
瑞稀は車の中に入った瞬間に目を輝かせて隅々を調べ出した。
そして風呂場を見つけると、興奮気味に扉から顔だけ出してソーラに訊く。
その嬉しそうな姿に、案外子供っぽいなとソーラはクスッと笑う。
「あっ、今私の事を笑いましたねっ! しょうがないじゃないですかっ! もう何日もお風呂に入ってなくて気持ち悪いんです!」
「悪かった悪かった。もうこの車に魔力は溜まってるからいつでも使えるぞ。服は洗濯機に入れておけよ。換えはまだ無いからな」
「……何か子供扱いされている気がします……」
そう言って少し不服そうに頬を膨らませていたが、お風呂の魔力に逆らえなかったのか、「……もういいです」と言って扉を閉めてお風呂に入っていった。
1人になったソーラは、家にあるソファーよりも座り心地のいいソファーに座り、若干微妙な気持ちになっていたが、気持ちを切り替えて今後の事を考える。
(まず住居はこれでいいとして……流石に服と食料は作れないし……いや、コピーくらいなら出来るけど、オリジナルは無いし。やっぱり一度探しに行かないといけないか)
食品は色々な要素が合わさっているため効率が悪く、服はソーラがファッションセンスがない事と、そもそも女の子の服を知らないと言う理由で作る事が出来ない。
なので実物を探してゲットする方が早いのだ。
ソーラはやる事を決めると、ソファーに寝転ぶ。
同時に張り詰めていた気持ちが切れ、一気に疲労が襲ってきた。
(あっ、マズい———)
ソーラは襲い掛かる睡魔に抗う事が出来ず、ゆっくりと瞳を閉じた。
▽▲▽
「———起きてくださいっ、ソーラさんっ———ッッ!!
「んあっ!? いだっ!?」
ソーラは瑞稀の声で飛び起きる———と同時にソーラの顔を覗き込んでいた瑞稀のおでことぶつかった。
2人はおでこを押さえて涙目になりながら会話する。
「お、おはよう、ございます……ソーラさん……」
「お、おはよう……えっと……すまん」
「いえ、それはいいのですが……「ゴンッッ!!」———ひゃっ! こ、これです! 何かがこの車を攻撃しているんです!」
ソーラは瑞稀の言葉で一気に目が醒める。
そして急いでキャンピングカーを結界で保護すると、揺れは収まった。
「あれ……? 揺れが……」
「今この車を結界が囲っているから安全だ。瑞稀は少し此処で待っててくれ」
「で、ですが相手は私達を襲った中位ゾンビです! 流石にやめておいた方が……」
「大丈夫だ」
ソーラはそう言うと、一瞬で目の前から消えた。
瑞稀は1人になった車の中で、悔しそうに顔を歪めながら、
「……私は足手纏いですね……」
そう溢した。
「———これが中位ゾンビね……正直体が大きい以外の違いが全く分からん」
ソーラは目の前で自身の魔術によって縛られている普通のゾンビの倍以上あるムキムキのゾンビを見ながらそう溢す。
本来、普通のゾンビの10倍強いため、其処らの異能力者では太刀打ちが出来ないのだが、ソーラは普通のゾンビの何千倍も強かったため、全く違いが分からなかったのだ。
「まぁこの世界の人間には危険なんだろうし殺しておくか。———【圧縮】」
ブシュッ。
ゾンビの体が一気に収縮し、血を噴き出して1センチ程のサイコロになってしまった。
こうして瑞稀を苦しめたゾンビは、ソーラによって僅か数秒でその命を散らした。
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下⇩⇩⇩の☆☆☆を★★★にしてくれると作者のモチベ上昇。
偶に2話投稿になるかも。
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