第31話*修行前の一時(アルダバラ)
シリウスと一緒にアルダバラへ来た。行くと、お義母様が待っていてくれた。
「ミサいらっしゃい、待っていたわ。今回は長く居られるって言っていたから、二人の部屋を広いところへ移したわ。気に入ってくれると嬉しいわ」
「お義母様、ありがとうございます! お部屋に行くのが楽しみです」
私がお義母様とキャアキャア話していると、シリウスが面白くなさそうにして、私を引き寄せる。
「みさ、俺も入れてくれよ。何か寂しい」
「ちょ、ちょっとシリウスー! お義母様の前では止めてってあれほど……」
言いかけると、今度は軽く口づけてきた。
い、いや、お義母様の前ではそれは止めてよー!!
心の中で思いっきり叫ぶ。
「あらあら、仲の良いこと。でも、シリウス? やりすぎは駄目よ?」
お義母様が、この状況をニッコリと微笑みながら見ている。
は、恥ずかしい……
「分かってるよ母さん、流石にこれ以上はしないって」
ニヤッとしながら私を見たシリウスの足を蹴って、お城に向かってスタスタ歩く。
「もう、シリウスなんて知らないっ!」
「みさ、ごめんて」
膨れっ面の私を引き寄せてまた、キュッと抱き締める。
お義母様もいるし、これ以上は言えないか……
「分かった。でも、もうしないでね?」
そう言うとシリウスは小声で言いながら、ちょっと悪戯っぽく笑った。
「うん、母さんの前ではもうしない。部屋に行ってからにするよ」
私はまた顔が熱くなるのを感じながら、シリウスと部屋に入る。部屋で着替えて出ると、皆の集まる食堂へ。奥にはお義父様、お義母様と手前にはフィリス。後は見たことの無い方々。私とシリウスは中央の席に案内され、
魔法士様かな? 後は騎士様? 騎士団長みたいな人の手前にも4人いる。
夕食を食べながら、今後の修行等について話す。話自体は真面目だが、早く打ち解けられるように皇太后が配慮してくれた。
皆が自己紹介をする。私が魔法士だと思っていた方は精霊士だった。私の能力を最大限に引き出す手伝いをしてくれるそう。
「それじゃあ、ミサも自己紹介してね」
お義母様にそう言われ、ドキドキしながら話し、頭を下げる。
「えと、私は姫川みさと申します。シリウスさんの
皆さん、笑顔で迎えてくれた。その後も和やかに食事は進み、皆さんともだいぶ打ち解けることが出来た。最初は心配そうなシリウスだったが、皆と楽しそうに話をする私を見て、安心した様だった。
食事も終わり、部屋に戻る。
明日から早速修行が始まる。少し前までは何処か他人事で聞いていた。精霊も修行も世界樹も、こんな夢みたいな話。普通なら信じられない。
でも、これが現実なんだよね。
「私、ちゃんと出来るかな」
そう呟くと、シリウスが私を優しく抱き締める。
「きっと大丈夫だよ。それにみさには俺が付いてる」
「ありがとう。シリウス、大好き!」
地球を離れるときもそうだったけど、不安に思っていた事も、シリウスの一言で大丈夫って思えるから私って単純だな。
なんて思いながら、不安に思っていた明日からの修行が楽しみになってきたのだった――。
悪魔に拐われた精霊の娘~義家族との絆、皇帝様に溺愛されて~ 猫兎彩愛 @misausa03
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