義姉と名乗る娘に両親が不仲となり、心労を患い逝去した母の無念からその義姉を恨むも、聖女となり慣習から王太子の婚約者に選ばれたヒロインであったが、禁忌である呪物所持とその呪物で義姉の聖神力を詐取していると謂れ無き罪を被せられ、父と共に断罪され、ヒロインは鉱山での過酷な労役と聖女としての治癒魔法に従事するなか、始め断罪を仕掛けた者に仕返しを行うべく脱走を企てるも密告により断念し、その後治療を施した囚人からの言葉に絆され、それまで高飛車な態度と言動で周囲との交わりの無さを痛感し、思考を改め素直に感謝を伝えるとか感情を表すに至り、年相応な娘へと変貌していく様が素敵に思えました。罪を貶めた義姉を騙る詐欺師と彼女を慕う実行役に罰を与える場面では、ざまぁ、と叫びたくなる程、スッキリさせられました。
聖女候補として、また貴族令嬢として確かな地位に居た主人公が、あらぬ罪で蹴落とされ、そこから這い上がる物語です。
この主人公ベアトリスは生来、負けん気が強く、他人への当たりも強ければ素直に謝罪も出来ない女性です。
心無い罵声を浴びせつつ、悪い事を言ってしまったと陰で反省する事もしばしば……。
それが理由で自ら窮地を作ってしまう場面もあり、それでも負けん気を発揮して、悲劇のヒロインを気取ったりしません。
そのへこたれない姿、常に前向きで、時に周囲を振り回す姿が格好良い。
優しく清楚、守られる側ではないヒロインを求めるなら、本作の主人公に満足できるでしょう。
最終的には汚名を晴らし、ざまぁする展開となりますが、道中しっかりとそこへ至る線が引かれています。
最後まで満足して読める作品ではないでしょうか。
護られるだけのヒロインではなく、自ら体当たりして打開しようとするヒロインを求めるあなたに、是非おすすめしたい作品です。