魔王様建設中。~世界征服の為に、魔王がカジノを建設するようです~【777文字】

大入 圭

魔王城。

「おい、カジノを建てるぞ!」


 魔王様が八重歯を見せながら声を張り上げる。

 

 カジノ?

 ……んな事いいから世界征服してくれよ。


「ギャンブルは人を狂わせるらしい。というわけでカジノで世界征服をするのじゃ!」

「なるほど! 魔王様らしい浅はかで馬鹿みたいなアイデアですね!」

「黙れ! お前は四天王なのに金が無くてブルーシートで暮らしているくせに!」

「それは給料が安いせいでしょう!」


 そもそも金も土地も無いのに、どうやって建てるつもりなんだよ。

 まず給料上げてくれよ。


「ではまず人間のカジノへ視察に行ってくるのじゃ!」

「えー、自分で行ってきて下さいよ。いつもアホヅラでよだれ垂らしてるだけなんですから」

「黙れ! お前はサボってカジノ行ってるのがバレて、部下のスライムに説教くらってたくせに!」

「それはいま関係ないでしょう!」


 私に罵声を浴びせた後、魔王様は颯爽と魔王城を飛び出した。


 ……ふう、静かになった。


 ……カジノ行こ。



 ◇ ◇ ◇



 いやあ、勝った勝った。

 まさかあんなに7が揃うなんて。

 今日は最高の一日だ。


 ざわざわ。

 ざわざわ。


 ん?

 魔王城の周りに魔物だかりが出来てるぞ。


 魔物の群れをかき分けて進むと、ブルーシートの上にちょこんと座る魔王様の姿があった。


「魔王様? 城が無くなってる気がするのですが」

「うむ! 魔王城は売ったぞ!」


 売った!?

 魔王城を売った!?

 はあ!?

 なにしてんのこの人!!


「人間のカジノへ視察に行ったらなかなか7が揃わなくてな。訳わからんうちに借金地獄じゃ!」


 おい誰だ魔王様をカジノへ視察に行かせた奴は!

 人を狂わせるどころか本人が狂ってんじゃねえか!


「金も土地も無いから、ここにカジノを建てることにしたぞ!」

「魔王城が娯楽施設に!」

「カジノの名前は【ラッキーセブン】じゃ!」

「どこがラッキーセブンだ! ふざけんなあ!」


 というわけで、カジノの名前は【アンラッキーセブン】になりました。





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