003 オーパーツ
さて、今回の都市伝説の考察なのだが、改めてオーパーツについて考えてゆこう。
前エッセイでも語った事がある深いテーマである。
さてと。
オーパーツとは、Out・Of・Place・Artifactsを略したもの〔※すなわちOOPARTS〕となっている。訳は、場違いな工芸品となり、オカルト界隈では、オーパーツは、しばしば時代錯誤な遺物という意味で使われる。
つまり、
その時代、その場所に存在している事自体が、不思議で、不可解な遺物とされる。
有名なところでは黄金のジェットが在るだろうか。
この遺物はコロンビアのシヌー地方に在る古代遺跡から発掘されたもので、かつて南アメリカで栄えたインカ帝国の前身であるプレ・インカ時代に作られた工芸品である。その形状は、まさに飛行機であり、それもジェット機のそれとなっている。
ただし、
インカ文明は、その名となるインカ帝国を含めて、鉄器文化にも到達していない。
いわゆる新石器時代ともいえるテクノロジーレベルでの物質文化を維持していた。そんな文化の下、黄金のジェットは作られたのだ。つまり、航空機という概念がない世界に突如としてジェット機を模した場違いな工芸品が現れたわけだ。
そして、
またコロンビアは、ナスカの地上絵で有名なペルーにもほど近い。
しかも、
折しも、
二つは制作年代も近い事から、何かしら関連があるのではないかと囁かれている。
つまり、黄金のジェットが作られた当時の文化レベルを考えた場合、どうしても整合性がとれないのだ。加えて、地上絵を作った意味を併せて考えたみた時、それは古代に今を超える文明が存在しており、宇宙とも交信していたという証拠となる。
そして、
南米から、ほど近い中央アメリカへと目を移すと他にも有名なオーパーツがある。
水晶の髑髏とパンレケ王の石棺の浮き彫りである。
ただし、
水晶の髑髏は、世界中で発見されている。その中で、もっとも有名なものをヘッジス・スカルと言う。今回は、このヘッジス・スカルに焦点をあてて考えを進めよう。ヘッジス・スカルはイギリス人のヘッジスが1927年に発見したもので、
イギリス領であったホンジュラス南部にある遺跡から出土したものとされている。
ホンジュラスとは現ベリーズ地方で中央アメリカ、ユカタン半島の付け根である。
つまり、
古代マヤ文明の遺跡であるアルトゥン・ハから発見されたものだ。
水晶の髑髏は、その精巧さと一つの水晶石から削り出されている事から現代の加工技術でも再現できないとされる。加えて、石目を無視して作られている。石目とは、へき開面とも言われ、結晶や岩石において特定の方向へ割れやすい面の事を言う。
その面を無視して作ったのだから本来ならば制作過程で割れてしかるべきなのだ。
それでも、それを為し得てしまったテクノロジーによって作られた、オーパーツ。
それが水晶の髑髏〔※ヘッジス・スカル〕なのだ。
そして、
アメリカ先住民の伝説によると世界中に散らばる13個の髑髏が全て集まると人類の起源を始めとした謎の解答を得られると言う。またマヤ暦の最終日である2012年12月21日に全ての髑髏を一列に並べると世界の崩壊を防ぐとも言われた。
とても面白いところで言えば、2008年に公開された映画……、
インディ・ジョーンズのクリスタルスカルの王国で題材に使われたのは興味深い。
そして、
髑髏の加工技術を考えた時、何かしらの高度な文明と文化を持った存在が絡んでいると考えられている。それは、UFOを含む、人類から見てオーバーテクノロジーを持った異星人からの技術供与があった、或いは超古代文明が存在したとされるのだ。
ただし、
後年の研究で、ヘッジス・スカルは古代ではなく近世に作られたものではないかとも言われている。しかしながら、古代の遺物なのか、或いは近世に作られたものなのか、といった論述は当記事の趣旨から逸れる為、敢えて、このまま話を進めよう。
兎も角、
最後にパンレケ王の石棺の浮き彫りなのであるが、
2019年2月に、人気ポッドキャスト〔※ポッドキャストとは無料で聴ける音声コンテンツである〕番組である、ジョー・ローガン・エクスペリエンスの司会者が、このオーパーツに言及した事で、再燃したものとなる。その番組中では……、
古代マヤ人は、宇宙から来た人々で、
7世紀、マヤの国王であるパカル一世の棺には宇宙飛行士が描かれているとした。
無論、このオーパーツは、1952年6月にメキシコ国立大学の調査チームが、パンレケ遺跡から発見したものであるから1950年代の当時の過去から現代に渡ってオカルト界隈で熱く語られ続けられた、ある意味、古典的なオーパーツとなる。
そんな石棺の浮き彫りなのであるが、
一見、なんの変哲もない遺体を納めた石棺となる。
しかし、
よく見ると、石棺の蓋には、体を丸めロケットらしきものに着座する宇宙飛行士とも思える姿がハッキリと描かれている。しかも、姿勢は重力に耐える為のものにも見え、乗り物後部にはエンジンも見える。加えて、背後から炎を噴射している。
ゆえに、
スイスの宇宙考古学者、エーリッヒ・フォン・デニケンによって、
この図はロケットに乗った宇宙飛行士だとされた。
しかも古代マヤ文明には乗り物を製造できる技術がなかった。車輪という概念は在ったが、それを輸送手段として使用しなかったが為にだ。ましてやロケットなどあるはずもない。だからこそ、オーパーツとしての浮き彫りが指し示す意義は……、
王が、死後、天に還ってゆく為の乗り物であり、天とは宇宙という意味だと言う。
ここでも、また宇宙へと登れる技術は今は超える文明が在ったからか、地球外生命体からの関与があったとされている。無論、これ以外のオーパーツも、たとえばピリ・レイスの地図やバグダッドの電池なども超文明が在った証拠だとされている。
ただし、ここまで語ってきて、筆者は思うわけだ。
なぜに、ジェット機と現代人の頭蓋骨、ロケットなのだろうかと。
もちろん、様々なオーパーツの成り立ちや不可思議さは興味深い。
言うまでもないが、サイエンス側から、それぞれに対して成り立ちや出自などについて反論が寄せられている。在るものは、ねつ造であり、あるものは当時に在ったものをモチーフにしたとされた。確かに、それも、また重要な結論なのだが、
それよりも、敢えて繰り返すが……、
なぜにモチーフがジェット機と現代人の頭蓋骨、そしてロケットなのだろうかと。
仮に超文明が存在していたとして、オーパーツは、そこで作られたものだとする。するとジェット機でいいのかと思うのだ。つまり、何故、大気圏内を自由に飛び回れる上に、そのまま大気圏外にも楽々と飛び出せる飛行物体ではないのかとだ。
敢えてオカルト的に言葉を換えれば、
ジェット機ではなくUFOであるべきではないのかと考えるのだ。
飛行機の歴史は発祥がアメリカとなり、1903年12月17日にライト兄弟がライトフライヤー号を飛ばした時から始まる。そして、第一次大戦で航空機が実用化され、第二次大戦でメッサーシュミットというジェット機が初めて実戦投入される。
つまり、
ジェット機というものは、第二次世界大戦当時、すでに実用化されていたわけだ。
ある意味で、現代から考えれば旧技術なのである。
水晶の髑髏についても同じ事が言える。確かに1000年やそこらで骨格など変わらない。しかしながら水晶の髑髏が持つ、その神秘性を考えた場合、宇宙から来た上位存在の骨格を象ったものの方が説得力が高い。世界を救うのならば尚更だ。
それを、単なる一般人の頭蓋骨〔※王侯貴族の可能性はあるが〕にしていいのか?
無論、もはやロケットについては、何も言うまい。
少々、補足しておけば、セティ一世葬祭殿内の壁画には航空機やヘリコプター、潜水艦、ミサイルなどが描かれているという。そして、極めつけは、黄金のジェット機ならぬ黄金のブルドーザーであろうか。そう。ブルドーザーに過ぎないわけだ。
ブルドーザーは1923年にアメリカで発明され、
日本でも1940年頃には、実用化が済んでいる。
このように、こういった例に枚挙に暇がないが、何故に今の技術力を超える超文明や宇宙から来たであろう上位存在が、今の時代から考えて、すでにオーソドックスとも言えるものをモチーフにオーパーツを作るのであろうか。敢えてなのだろうか。
この不可解さを、より分かりやすく喩えるならば、
電車や飛行機があるにも関わらず自転車で世界一周をするようなものであろうか。
ちなみに古代核戦争説にも、全く同じ事が言える。
SFの世界では荷電粒子砲などの超科学兵器が使われる一方でオカルト界隈では時代遅れとも言える核兵器でドンパチをするからだ。いや、現実世界でも神の杖と呼ばれるアメリカ空軍が現在開発中の核兵器を超える宇宙兵器が存在するからこそ。
そんなものが在るにも関わらず、何ゆえ、今更、核兵器なのだろうと思うわけだ。
それとも我らの思考が追いつかない乗り物や兵器など〔※この先の未来に存在するであろう機器〕を象ったオーパーツが在ったとしても、想像の範疇を超えてしまっているからこそ、理解できないからこそ、それらは発見されないだけなのであろうか。
しかし、
筆者は、どうしてもオーパーツを否定する為の根拠と懐疑論の方が信憑性が高いと考えてしまう。加えて、オーパーツはカネになる。だから、ねつ造も多い。そういった事情を併せて考えると、オーパーツ自体、余計に怪しくなってしまうのだ。
つまり、
恐竜土偶やカブレラ・ストーンなど、
ねつ造されたものとして格好の例となるものがあるからこそ……。
無論、ねつ造ではなく、且つ、肯定する論拠が確かなものも、また存在している。
アンティキティラ島の機械などは、科学的に調査が進み、失われた人類の英知の結晶と呼ばれている。この他にも例をあげればキリがないのだが、世界最古の天文盤と呼ばれるネブラ・ディスクなども、また、その根拠と論述がしっかりとしている。
なので、
結論としては、いや、筆者としては、
ほとんどのオーパーツは、その存在意義〔※過去に今よりも優れた技術が存在したという証〕に乏しく、金儲けの為にねつ造されたものであろうと考える。ただし、その中にも一考に値すべきものはあるのだが、いかんせん、偽物が多いからこそ……、
玉石混淆となっており、その輝くべき玉石が霞んでしまい、とても残念なのだと。
そうまとめて今回の記事は終わろう。
また何らかのオカルトを語る機会があれば嬉しい。
そう願って……、草々。
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