005 科学の可能性と限界
さて、第五回の議題なわけだが……。
この際、筆者が思う科学の可能性と限界をオカルトというテーマで語ってゆこう。
少々、小難しい話になってしまうかもしれない。無論、筆者なりに、簡単に、笑って読める〔?〕ように書いていくつもりである。それでも難しくなってしまうかもしれない。まあ、いつもの事だと鷹揚な気持で笑って許して頂けるとありがたい。
では、まず本稿のテーマである科学を語る前に寄り道と一つだけ言っておきたい。
前提条件としてオカルトはカネになるという事。そしてオカルトで儲けたいものは敢えて科学を貶めるような言動が目立つ。そうしておいた方が単純に儲かるからだ。ゆえにオカルト肯定論者は、そうした歪められた意見を数多く目にしている。
その為、得てして科学を軽視しがちな傾向にあるようにも思える。
筆者としては誠に遺憾であるが、当エッセイの読者諸氏でオカルト肯定論者の場合、そういった色眼鏡を外してから読んで頂きたい。うむ。その意味でも結論から言っておこうか。筆者が考える科学は決して万能ではない。これは間違いがない。
しかし、可能性も無限大という事だ。
詳しくは後述するが現代の最新科学は自ずと自分の限界を証明してしまっている。
最新科学とは、マルチバース理論や量子力学などを指すが、これも後に任せよう。
兎に角、
限界があるにも拘わらず、今の世界では、まず科学に照らし合わせて正しいのか、間違っているのかを判断する。しかし、それは国家内での出来事は国家が定める法律に照らし合わせて罪と罰、無罪放免なのかを決めるのと等しいと考えて欲しい。
無論、法が在るからこそ人間は、あらゆる動物の中で、もっとも気高いのである。
ただし、
この是非は今は問わないで頂きたい。
いつか、何処かでは語りたいが、今は本稿のテーマとは逸れるがゆえ申し訳ない。
兎に角、
そんな世界だからこそ、科学的な論議が必要となる。
なににおいても。それは間違いない。
ただし、
現在の科学は指標で在り、それ以上ではないという事も、ここで語ってゆきたい。
しかし、メモリのない定規が目検討の直線しか引けないのと同じく、指標無き世界は無秩序であり、それこそオカルトで儲けたいと考える無法の者達の天下ともなる。だからこそ指標でしかない科学であってもオカルトには必要不可欠となるのである。
さて、では、……本題へと移ろうか。
まず先にも述べてあるマルチバース理論というものを紹介しよう。
ユニ〔1つ〕バースに対し、マルチ〔複数〕バースとは、観測できない別の宇宙が存在するという概念を示す理論となる。うむむ。やれやれ。○○理論というと、ここまで語ってきたように、なんだか堅苦しく小難しいものと勘違いしがちだ。
だが、こう言い換えてしまえばどう感じるだろうか?
つまり、
パラレルワールドがあるのだ、とだ。
途端に、親近感が湧いてくるだろう。
特にオカルトとは親和性が高いパラレルワールドというワードは、
創作の世界でもSF作品では古くから扱われてきたテーマである。
無論、ライトノベルでも異世界転生ものが盛り上がっている現状を省みるにパラレルワールド〔異世界〕とは興味がある話題ではなかろうか。マルチバース理論は多元宇宙論とも言われ、日経新聞の記事にも、れっきとした科学として記されている。
敢えてで繰り返すが、マルチバース理論とは、実際のところ……、
パラレルワールド〔異世界〕はあると仮定する、それだけの事だ。
つまり、
パラレルワールドが在るという仮定の基、様々な事柄を立証・反証する。その中には今まで証明されてきた物理法則をも内包されている。その上で生物が生存しうる為の環境確率論や生命起源論などを合理的に説明する為に生まれた理論となる。
まあ、ぶっちゃけて……
マルチバース理論が在った方が、現代科学として合理的に様々な事柄が説明つく。
だから在るんじゃないの、うん、その方が便利だね。そうしよう。
と、それだけの為だけにマルチバース理論は生まれたとも言えるのかもしれない。
確かに、上記三行は憶測に過ぎない。
加えて、
いささか乱暴に分かりやすく書いた。が、大枠、こういった思いが数多の科学者の中に在ったのではないかと考える。しかし、このマルチバース理論が正しいとされ、重宝されればされるほど今現在のではあるが科学の限界が浮き彫りになる。
つまり、マルチバース理論が正しいとして、……じゃ、どこに異世界はあるのだ?
在ると証明できるのか?
そういった根源的な問に対して答えは、こうなってしまうからだ。
まずパラレルワールド間の物理的な移動は不可能だとされ、移動が不可能であるのだから観測も行われていない。観測が出来るのか、否かは、今のところ明言されていないが、移動が不可能であるから観測も不可能と思われている節がある。
ゆえに、
マルチバース概念を裏付ける証拠は純粋に理論的なものと哲学的なものしかない。
そして。
今は移動や観測が不可能だとしても。
1000年後には私達が想像もしなかったような事が明らかになるかもしれませんと言い出す。ゆえに私達は正しい検証法を見いだしていないだけなのかもしれませんと結論づける。……うむ。云々言う前に、この結論を覚えてもらい、先に進もう。
兎に角、
マルチバース理論で図らずも科学の限界が証明された格好になる。
そして、
ここに筆者が思う幽霊についての論を組み込めば面白い事になる。
幽霊とは幽体とされる物理的な肉体とは違う未知の物質〔ですらないのかもしれないが分かりやすく物質と表現しておく〕で構成されていると仮定する。それは視覚では認知できないものであり、ともすれば五感全てでも感じられないものとなる。
そして、
第六感と呼ばれるものが在り、それならば感じられるのかもしれないものとする。
まあ、前提として、第六感、シックスセンスが存在するのかどうか、この命題に対しても今の世では答えが出ていない。しかし、渡り鳥が地球の磁気を感じられるよう人間も磁気を感じる能力が在るとされ、それは第六感であると定義され始めた。
無論、科学の領域でだ。
その意味で、いまだ未知なる感覚〔いわゆる霊感〕が在って霊体を認識できるという事が、この先、科学で証明されるかもしれない。無論、そんなものなど無いとされるかもしれない。そのどちらにしろ今回は仮定の話であるから霊感は在るとする。
そして、
そうなると、幽体とは重力に似ていると言える。重力は目に見えず、アイザック・ニュートンの存在を待たずして認知されず、概念すらなかったのだから実在すらもあやふやであったのと似ているわけである。ゆえに幽霊についても、こう成り立つ。
今は幽霊が観測が不可能だとしても。
1000年後には私達が想像もしなかったような事が明らかになるかもしれません。今の私達は正しい検証法を見いだしていないだけなのかもしれません。と。つまりマルチバース理論の、それとまったく同じものが成り立ってしまうわけだ。
これをUFOに当てはめても同じだ。
もちろん、UMAでもオーパーツでも、まったく同じ結果となる。
つまり、
ここでオカルト懐疑論者は矛盾を抱えてしまうのだ。
科学的手法であるマルチバース理論では分からないものを認め、逆に非科学的なオカルトでは認めないと。言ってしまえばマルチバース理論での検証法は、いつか確立されるのを待とう。だが、幽霊など在りはしないのだと一刀両断するわけである。
そして、
先に肯定論者へと問題提起したよう逆に科学を軽視する姿勢もそれと同じとなる。
マルチバース理論での検証法がないがゆえ、それだけを見て科学にも分からない事はある。だから、その分からない事の中にオカルトという現象が在るのだと信じ切る。まあ、言っている事は間違ってはいないのだが、少々、意味をはき違えている。
科学の限界とは今のところ分からないだけであって、
これから先、未来永劫、ずっと分からないままで終わらないのだ。
先にも述べたようシックスセンスですら科学のメスは入っている。
つまり、
科学によって無意識の潜在的な能力として人間が磁気を感じる能力を見つけたよう科学は進歩するのだ。ゆえに幽霊は無いと証明される日が来るかもしれない。その逆も、また在る。ちょうど重力という幽霊のようなものが在ると証明されたよう。
ゆえに科学で分からないから在るではなく、
いまだ科学では分からないから在るかもしれないし、
無いかもしれないの現状としては曖昧模糊なのだと、そう結論づけるべきなのだ。
だから今こそ科学という物差しでオカルトを見つめる必要がある。
科学には限界がある。が、可能性もある。加えて、限界内では間違った事は言っていない。だから可能性に目を向けるべきだ。いつまでも分からないのままでは終わらないからこそ在るのか、無いのか、その答えが出る日を座して待つべきなのだ。
それこそオカルトに秩序を作り出す。
その為、
今まで科学によって証明されてきた物理法則や定理を無視したオカルト事象は今のところは無いものとしておいた方が無難だ。浪漫に過ぎないと割り切る事が大事なのではなかろうか。でないと儲け主義のオカルティストに利用されるだけであるから。
つまり、
科学を軽視するという事は、再三、繰り返し述べているが、オカルトを金儲けに使う輩の餌食となってしまうわけだ。なにがとは言わないが、この世には、そういったものが溢れている。それこそ観測可能で立証可能な事象で当たり前な事となる。
ゆえに科学が持つ可能性と限界をはき違える事は危険な事である。
と、まとめ、今回は終わりにしよう。
また、なにかの機会があれば語らせてもらおう。では、それまで。
チャオ。
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