「ラッキー7」を信じた男の行方

Syu.n.

ジンクスを信じぬいて何が悪い!?

「ラッキー7」と言う言葉を、誰しも聞いたことがあると思う。


その由来をネットで軽く調べてみたところ、どうも野球に由来する説が一般的らしい。

「野球の7回くらいになると、双方疲れが見えてくるためか、試合にまた違う動きがみられ、場合によってはラッキーな展開が訪れる」と言った意味で「ラッキー7」と言う言葉が使われるらしい。へぇ~


その説を取るなら「野球の7回」、百歩譲って「7」と言う数字には何か幸運をもたらすような雰囲気を感じるが、「77」とか「777」には幸運要素無いんじゃね?


などと思ってはいても、「ラッキー7」と言う言葉がある以上、何か幸運に関わるジンクスめいたものを感じ取るのは、別に悪いことではない。何を信じるかは個人の自由だ。



そんな「ラッキー7」のジンクスを若い頃から信じぬき、成功と言える成功をおさめた青年実業家がいた。

彼は、言ってしまえば「7と言う数字はいつかは来る」と自らに信じ続け、そしてそれが実現されるように動いてきたのだ。


「どんなにぐちゃぐちゃな状況の仕事でも、必ずターニングポイントはある。そこに7と言う数字がくるように私は動き、そうなるまで耐え忍んできただけだ。」


彼の持論はこれである。「別にその数字は1でも2でも構わないのだが、「ラッキー7」があるから7にした。」とも語っている。



ジンクスと言うのは、「ハマったらラッキー」くらいの認識が、まあ一般的だろう。

だが、成功をおさめ、かつそれを維持しなければならない青年実業家にとってはそうではなかった。

社長でもある彼は、多忙な日でも「原則としてAM7時出社のPM7時退社」を心がけており、髪型は七三分け。

毎月7のつく日には、規模は小さくても何か試みを行う。7月なんてなれば1年で最も活発に動く。好きな星座は北斗七星。


とにかく、自分で可能なことならば7を用いる。これこそが彼のジンクスであり、成功術であった。実績も示してきた。




そんな順風満帆に見えた彼は、ある一つの報道がきっかけで、あえなく表舞台から姿を消した・・・


あまりにあっさり過ぎる彼の失脚ぶりは、「ある意味ホラー」とニュース番組のコメンテーターは評し、「アンラッキー7」と冷やかした。



「いくら7にこだわるからって、交際相手の7股はありえないでしょう。」

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「ラッキー7」を信じた男の行方 Syu.n. @bunb3

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