アンラッキー7な殺人

ヤミヲミルメ

スリーセブンに届かない

 親愛なる我が読者よ。

 殺害されたのはコンサートのために来日中だったイギリスのバンド『777スリーセブン』のメンバーの一人だ。


 リハーサルの合間に楽屋でくつろいでいた被害者を何者かが毒針で刺した。

 毒針。

 周到に用意された計画殺人だ。


 被害者は犯人から逃れるためにロッカーに立てこもったが、そのまま閉じ込められている間に毒が回って死亡した。


 被害者のスマホは楽屋のテーブルの上に置かれた状態。

 毒針で刺されてから息絶えるまでに数分はあったと思われるが、出血はほぼなく、血文字で犯人の名前を記すなんてのは不可能だった。

 それでも被害者はダイイング・メッセージを残していた。


 見たまえ。

 ロッカーにしまわれていた備品の一つ。

 777のロゴのステッカーだ。


 被害者はこのステッカーを三枚に破り……

●右端の7を床に捨て、

●左端の7をロッカーの扉の裏に貼り、

●そのとなりに真ん中の7を、八十度ほど回転させて貼った。

 九十度ではなく、ね。


 これらの7は何を意味しているのか?

 被害者の目線になって考えてみよう。


 ロッカーに入り、扉を閉める。

 わずかな隙間から外が見える。

 向かいの壁に777のポスター。


 メンバー四人の写真に、それぞれの名前が日本語で書いてある。

 ハワード、ヒース、フレデリック。

 それに被害者のヘンリー。


 犯行があった時刻に楽屋に出入りできたのはこの四人だけだ。

 犯人はバンドのメンバーの中にいる!

 シンキングタイム・スタート!



  ↓



  ↓



  ↓



  ↓



  ↓



 答え合わせだ。




 7と、逆さになって少し角度のついた7。

 この二つを頭の中で思い浮かべてごらん。


 わかりづらいかな?

 6と9みたいにスマホで打てるといいんだが……


 ああ、似た文字があったぞ。

 カタカナの『レ』だ。

 逆さにして角度をつけた7に似ているだろう?

 これがそのまんま答えだよ。


 一つ目の7はカタカナのフ。

 

 二つの7を使って被害者が表現したのは『フ』と『レ』の文字。


 犯人はフレデリックだ。





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アンラッキー7な殺人 ヤミヲミルメ @yamiwomirume

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