登場キャラの魅力が溢れる児童文学的ファンタジー

最新77話まで拝読してのレビューです。
読み始めて思ったのが、ルイス・キャロル著「不思議の国のアリス」でした。
タイトルにもあるように、主人公はアリスという少女です。そんな彼女を中心に物語は展開していきます。

彼女はなぜか10歳以前の記憶がありません。
立ち入り禁止の中庭に落ち、その先で一人の美しい少女シェリーと出会うという構成は、やはり下敷きになっているであろう「不思議の国のアリス」を彷彿とさせてくれます。
落ちた先でアリスはシェリーをはじめ、色々なキャラと交流を重ねていきます。作中、それらの機微がとても丁寧に紡がれています。

本作は純粋な児童文学ではありません。異世界ファンタジーものなのです。
一見、平穏に見える彼女たちの魔法学校生活にも、ひたひたと危険が迫ります。
サーカスという黒魔術結社との戦いは読みごたえ十分、ハラハラドキドキの連続です。

様々な事情が複雑に絡み合い、一筋縄でいかないところなど、某海外ファンタジー作品を想起させてくれます。

長編となる本作はまだまだ謎も多く、これからの展開こそが楽しみになっています。
タイトルからしてそうですね。アリスは主人公ですが、では私とは誰のこと?
アリスの失った記憶もです。他のキャラにも色々な秘密があります。

それらが解き明かされた時、本作は読者に何を見せてくれるのでしょうか?
期待せずにはいられません。

物語が佳境に入る前に、ぜひ一読してみてください!

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