こんな君の肩をポンと叩く、そう言う人でありたい……。

これを読んで、僕はモノを書く人を目指す癖に少しの間だけ大切な言葉を失った。

激情だとか感動だとかほのぼのだとか、そういうモノとは明らかに違う「生きる」がここにあった。

大変申し訳ないけど、このレビューは誰かにこの作品を読んでもらいたいから書いているのではなくて、この物語を読んだ人に、僕はこう感じたんだ、と話しかける為に書いている。本当に申し訳ないけど……。

想像され作られた物語とは違う、少なくとも僕は勝手にそう思う。だけど決してこれは完全な実体験でもないだろう。それなのに、ここに流れるリアル。

これを書くには自分の心を削らなければ書けない。頭で書くのではなく、生まれ来る言葉にありのままに対峙しないと書く事は出来ない。

僕はこの筆者様がこういう次元を秘めているのは、他の作品を見れば理解しているつもりだった。でも、これはもう一段階、深く、そして素直に、「生きる」が生まれている。

たたかえ。この言葉は強い。たたかえ。この言葉は脆い。たたかえ。この言葉は叫ぶ。たたかえ。たたかえ。たたかえ。

ここにあるすべての言葉を受け取って、僕は海辺にいる彼女の肩をポンと叩いて、不意をついて驚かしてあげる様な、そんな人でありたい。

この作品を読んで、様々な想いを受け取り感じた皆様へ、僕はこのレビューを捧げます。

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