KAC20234 深夜の散歩で
この美のこ
深夜の散歩で
「ねぇ、今から散歩してみない?」
桃が急にこんなことを言ってきた。
用事を思い出して幼馴染の桃に電話を入れて、その後たわいのないおしゃべりをしていたら、いつの間にか0時を回っていた。
僕の部屋からカーテン越しに見える月が綺麗だったので
「すっごく、月が綺麗だよ」と言うと、
桃も、窓を開けて外を覗いてみたようで
「うわぁ、ほんとだ、もしかして満月?」
そして桃は急にこう言ってきた。
「ねぇ、今から散歩してみない?私、こっそり家を抜け出すから」
あまりにも突然だったが、その時の僕は嬉しくって
「いいね!」と即答していた。
それから僕は桃の家の近くまで自転車で迎えに行って、そして公園まで二人乗りで走った。
夜が二人を大胆にしてくれた。
「深夜の公園、なんだかドキドキするね」
そんな桃の言葉に僕は、ハートがドキュンとした。
真夜中の公園は誰もいない。
見慣れた景色が、変わって見える。
静寂に包まれた、その非日常感が心地良い。
真夜中ってこんなにスリルがあるんだ。
そして解放感も!
見上げた夜空の星も月も綺麗だった。
僕は、ドキドキしながらも桃の手を握った。
桃もギュッと握り返してくれた。
その時、僕は、前からずっと言いたかったことを、今日なら言えそうな気がしてきた。
僕は、ずっと前から、桃が好きだった。
最初は、幼馴染として好きだった。
桃には両親がいないから、僕が守ってあげたいと思っていたんだ。
でも、いつからか、それ以上の想いを持つようになった。
いつも、たわいのないおしゃべりはしていたが、僕のこの気持ちを伝えたことはなかった。
この独特の深夜の雰囲気が僕を後押ししてくれるような気がした。
今しかない。そう思えた。
「僕は桃が好きだ。ずっとこれからも一緒にいたい」
「私も
二人の影が重なった。
深夜の散歩は、最高だ。
月が二人を見守っていた。
深夜の散歩で起きた僕が勇気を出した出来事だった。
KAC20234 深夜の散歩で この美のこ @cocopin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
おしゃべりな昼下がり/この美のこ
★336 エッセイ・ノンフィクション 連載中 230話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます