あとがき

 今回はFortune - Look on the bright sideをお読みくださり、ありがとうございました。本作は信じられないほどの幸運に恵まれている主人公が実は全くそのことに気が付かないことによって、不幸を感じているという対比を表現したものとなっていますが、お楽しみいただけましたでしょうか……?


 ある人が幸運なのか、不運なのかというのは、客観的基準というよりも個々人の主観的な感性で判断されるべきだとは思いませんか……?


 思わず同情してしまうような酷い目に遭っている人を見かけたとしても、その人がにこにこと笑顔で幸せそうにしているなら、その人にとって日常は幸せで満ち溢れているのでしょう。一方で、誰もが羨むような幸運に恵まれている人もその幸運に気付いてすらいないようなら、不幸と言えるのかもしれません。


 本作における主人公も冒頭では、車に轢き殺されかけるという命の危機が訪れた不運な学生という見方ができる一方で、偶然命が助かって今後の教訓を得るという幸運を享受したという考え方もあります。自身を不幸体質と言う主人公のことを一途に想い続け、身を案じてくれている大切な幼馴染がすぐ隣に居るというのに、感謝するどころか、それすら不幸の一環として考えてしまう主人公は、客観的には幸運ですが、そのことに気が付いてすらいませんね。


 何が言いたいのかというと、誰しも日常には大小にかかわらず幸運が潜んでいて、そこに気が付ける人こそが1番幸せなのだということです。結局、幸か不幸か、どちらが我が身に訪れるのかというのは「運」ですけれど、そこに気が付けるかどうかは「実力」です。どんな僅かな幸運だったとしても、見逃さずに大切に思う気持ちを養いたいと思った今日この頃です。


 ──果たして、主人公は最も身近に存在しているに気が付くことはできたのでしょうか……?

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Fortune yokamite @Phantasmagoria01

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