優しくて強い物語です

竜導師の才能がありながらも、女の子というだけで夢が妨げられてしまうエルマ。政略結婚の必要性を感じながらも、五人も妻がいる男性に嫁ぐのに異議を唱えている王女ミンツェ。
そんな二人が、王国の難事に向き合う王道ファンタジーです。

なのですけども……。
エルマの性格が私は相当好きなのです。夢を妨げられてそれを突破していくのは、相当気が強い主人公じゃないと無理だと先入観を持たされていたことに気づきました。でも、この物語のエルマは控えめで心優しい、おとなしくて気が弱いタイプの子です。その子が様々な人と出会って、才能を開花させていくのは、我が子の成長を見ているようで感動しました。そして、そういう子は障害をものともせず、ただひたすら愚直に自分のやるべきことをします。すると壁などなくなるのです。
ミンツェ王女も、まだ政略結婚の話が切羽詰まるのは先でしょうが、物語を引っ張っていく強さを感じます。

この二人のバディの安定感と言ったらありません。
気弱になりがちなエルマをミンツェが振り回し、引っ張り回していく。それはとても爽快で、愉快です。
第一部で一つの難事が解決しました。陰謀や魔法などが入り組んでいて、読んでいる側もどきどきしましたが、逆にその筆力に感動しています。
続きではどんな難事が待ち構えていて、エルマやミンツェはどうなっていくのか、大変楽しみです。

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