第十三話 最終決戦


空にはゆっくりと灰色が凝縮されていっている。

そう、夜が来る。


「圭く〜ん、緊張してるんとちゃうん?」


「いい加減しないと貴様の首を刎ねるぞ!!」


「お前ら!もう少し緊張感を出せないのか?」


圭の事を過去数日間見てきたが異常に潔癖な所以外は全く”圧”が無い。。。。少し心配になってきた。


「永澤の旦那、全員到着しました。」


隆元の部下の報告を聞いた後、俺はまた二人を睨むとやっとその場は静かになった。


「我々は今回、今までにない宿敵と相対する。そう、イタリアンマフィアのマッセミリアーノ家だ。」


すると、隆元の部下の間で明らかなざわめきが起きた。


「確かに!」


俺は一層声を張り上げた。


「俺の私情はこの抗争にかなり関わっている。けれども光田組の一員として名も知らない外国人に負けてて良いのか?」


そう質問した瞬間全員の顔が変わった。


「良くねえ!!」


「やられるなら、相打ちだ!!」


一人、また一人と瞬く間にほぼ全員が叫び始めていた。俺が手を上げると、また静けさが戻った。

しかし、今度は喝が入った。


「警視庁と光田組が手を組むのは初めてでは無い。因縁がある者がいてもおかしく無いだろう。けれども今だけ、水に流してくれ。頼む。相手は強大だがいくら強くても予想外の事が起きれば必ず崩れる。勝ち、そして一生残る武勇伝を作ってみろ!!」


歓声と共に皆は予定の配置へと動き始めた。


「鼓舞するんめっちゃ上手いやん〜。」


手で拍手の真似をしながら岡田が俺に近付いてきた。


「お前こそ、油断して集中は切らすなよ。」


「切れてる訳ないやん。」


そう言う岡田の眼を見るだけで俺には充分だった。

岡田に背を向けると、俺は人生で最も使い、最も人の命を奪った言葉を言い放った。


「突入。」




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灰眼の刑事、そして花言葉 U.N Owen @1921310

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