捨てられない家族

LAYLA

第1話 ぐちゃぐちゃな家

俺の母親は片づけが苦手だ。

母親は自営業の父親の会社で事務員として働いているが、昔の書類をすべて家の一室に溜め込んでいる。

書類だけならまだしも、使わなくなった洋服や子供のおもちゃなども溜め込んでいる。

いわゆる捨てられない癖の人なのだ。


そもそもなんで母親がこんな風になったのか?

それは遡ること、俺の祖母の話だ。

祖母が家の片づけをしていた時、間違ってダイヤの指輪をゴミと一緒に捨ててしまったらしい。

それ以来、祖母はゴミをゴミとして見れなくなり、毎回「この中には何か大事なものが入ってしまっているのかも?」と思う様になったそうだ。

祖母の家は俺の家より数倍ぐちゃぐちゃで、何がゴミか、いや全てゴミと思うレベルで物がひしめき合っている…。


そんな祖母と暮らした母親は、祖母の様に「大事なものを捨ててしまうかも!」とまでは思わないが、物を捨てるのが苦手になり、溜め込み癖が付いてしまったようだ。


祖母との違いは、祖母の家は誰から見てもぐちゃぐちゃなだし、本人でさえどこに何があるのか分かっていないが、俺の母親は(俺から見ての)不用品は一部屋に押し込めてあるし、一応書類は書類ケース、服は衣装ケースとカテゴリー別に分けているので、部屋に入っても物が多いとは感じるが、ぐちゃぐちゃだなぁとは思わない。


祖母が亡くなった時、大事な書類もいらない書類も適当にしてあり、着物、証券、宝石など売れる物もちゃんと整理されておらず、母親は処理するのに長い時間を要した。

その事を俺は知っていたので、年老いてきた母親に「おかん、そろそろ大事な書類はまとめたり、いらないものは捨てたりしたら?」と聞いた。

母親は「分かっているけど、どこから手をつけたら良いのか分からないの…。」と困った顔をした。

その顔を見て、俺は母親の為に収納アドバイザーの資格を取り、時間を見つけては母親の片づけを手伝っている。

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捨てられない家族 LAYLA @layla_layla

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