負荷を片側に押し付けることが出来る世界での話。


 この作品の特徴は「エネルギーの高さ」にある。

 作品名やタイトルからひしひしと湧いてくる予感。一文目から読み進めれば、もう明らかにエネルギーが隠しきれていないことが分かる。

 この膨大なエネルギーは、唐突な訪問者によって一気に爆発し、陰にあった作中世界の因果と業が白日の下にさらされる。

 あまり核心的なことに触れずに説明するなら、その世界は「負荷を片側に押し付けることが出来る」のである。


 差別がないということは、必ずしも平坦であることを意味しない。
 むしろ、それはゴミ部屋の住人の如く、ぐちゃぐちゃであることを何とも感じない状態に近い。

 それが「良し」と認めれば、あるものが、ないことになってしまうのである。


 一度、炸裂したエネルギーはもう元の場所に収まることはない。跡地にぐちゃぐちゃの混沌を残すだけである。

 そしてレビュアーは茫然とした顔を浮かべて、起こったことを整理しようと虚しい試みをする……