負荷を片側に押し付けることが出来る世界での話。
- ★★★ Excellent!!!
この作品の特徴は「エネルギーの高さ」にある。
作品名やタイトルからひしひしと湧いてくる予感。一文目から読み進めれば、もう明らかにエネルギーが隠しきれていないことが分かる。
この膨大なエネルギーは、唐突な訪問者によって一気に爆発し、陰にあった作中世界の因果と業が白日の下にさらされる。
あまり核心的なことに触れずに説明するなら、その世界は「負荷を片側に押し付けることが出来る」のである。
差別がないということは、必ずしも平坦であることを意味しない。
むしろ、それはゴミ部屋の住人の如く、ぐちゃぐちゃであることを何とも感じない状態に近い。
それが「良し」と認めれば、あるものが、ないことになってしまうのである。
一度、炸裂したエネルギーはもう元の場所に収まることはない。跡地にぐちゃぐちゃの混沌を残すだけである。
そしてレビュアーは茫然とした顔を浮かべて、起こったことを整理しようと虚しい試みをする……