神々の、あるいは愚者達の宴。


 生体ぬいぐるみ。それはデザインされた人造生物。
 今回の注文は、主人公アキチカにとってかなり珍しい要望であった。

 それは「意図的に寿命を短くしてほしい」というもので……



 ものすごい内容だと思った。
 テーマもさることながら、それを文章で表現する能力に舌を巻いた。

 生物をほぼ自在に造れる遺伝子デザイナーは、神様のようなものだ。
 だが遺伝子デザイナーに注文を出せる客もまた、神様のようなものだ。

 神様だったら、どんなワガママも残酷なこともしてよいのだ。

 しかし途中で一転して、その神々は非常に可哀想な、または滑稽なものに見えてくる。
 何でもできるようでいて、実は鎖のようなものに、がんじがらめになってるかのようだ。

 何を憐れみ、何に救いを求めればよいのか分からなくなった時、何気なく放たれた一言。

 私にはその発言の主が、一番「尤もらしい」神様に見えた。