小さな復讐者
北きつね
ぬいぐるみは知っている
俺の身体は、布と綿で作られている。
”ぬいぐるみ”という物らしい。よくわからない。この児童養護施設で育った者が創造主だ。近くで本屋をやっているらしい。
俺の創造主は、幼体が喜ぶ
創造主は俺を
俺は、人間の幼体と暮らしている。幼体は、弱い。
守ってやらないと、心が疲弊して壊れてしまう。幼体が流した涙で濡らされる。
身体に出来た傷は自然と治る場合が多い。
子供と呼ばれる幼体は、身体に傷を作りながら成長する。傷の数だけ強くなる。
幼体の心の傷は治らない。
学校という幼体が集まって仕事をする場所がある。
学校に行っている幼体が心を壊して帰ってくる。
幼体の心を癒すのが俺の役割だ。治せない。癒すだけだ。
学校という所から帰ってきた幼体が俺を抱きしめながら泣いている。
幼体は、大切に扱ってくれる。抱きしめて安心してくれる。いろいろなことを話してくれる。
年少者が抱きしめて寝る。その時に、創造主が持ってきた
この瞬間が好きだ。この時は身体が重くならない。笑いかけてくれる。
俺を抱きしめた年少者が泣いている。
学校で何があったのか解らない。年少者の涙で身体が重くなる。重くなった身体は自由に動かせる。
俺は幼体の心を癒す。創造主からの唯一の命令だ。
創造主が
俺は、決意した。
俺が動ける間に、幼体が心を壊している原因を取り除こう。
幼体の涙で重くなった身体は、俺を原因に導いてくれる。
暗くなって幼体が寝たら動き出そう。幼体が起きるまでには戻ろう。
そして、明日も幼体を癒そう。
「庵さんのぬいぐるみ。やけに重くない?
あれ?血?
誰かが怪我しているか調べて!
小さい子から!」
小さな復讐者 北きつね @mnabe0709
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