背筋をゾッとさせる恐怖を与える文学書

本作に「いつの時代か」なんて記載されていない。
それなのに語り手、登場人物から明治辺りであるな、と想像できる。
そうした細やかな情景描写から、「焔に魅入られた男の狂気」が繰り出される。
男は最後まで冷静で、下見や準備を周到にするほど計画性があり、それでいて狂気に狂わされた。

これほどの人物を、これほどの文章を年端もいかない少年が作り、書き上げてしまった。
才能とは何たるか。
少年が、語り手が、私に問うてくる。

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