一番辛いのは「楽にすらなれないこと」ではないか。


 過ちを犯した者の恐怖と苦痛と絶望を2000文字程度で疑似体験する。


 端的にこの作品は上記で言い表せます。

「あとがき」で作者様の伝えたかったことは描かれていますが、本編を見て私が感じた率直なイメージは

「一時の躁状態により自殺を試みるも失敗。覚めていくとともにじわじわと自身のしたことの重大さを身体で味わっていく。それは既に自分の制御出来るものではなかった。生と死の狭間で、身体をよじることしか出来ない、宙吊りになった存在であった」

 というものでした。

 人によってイメージは変わるとは思いますが、ベンタブラックばりに濃い黒に、ついつい見とれてしまう一作です。