シェアハウス・with・ゴースト……なんて生易しい物ではなかった

『みんなこわい話が好き』でカクヨムホラー部門大賞を受賞したジュージさんの、見切り発車日刊連載シリーズホラーの一作。見切り~は「よみごさん」が登場することが多いのですが、今回はそれとは切り離した別作品です。

 本作は「住み続けたら絶対何か嫌なことが起こる家で、何が起こるか確実に知っているであろう怖いお兄さんと『逃げない』契約をさせられた主人公が、幽霊屋敷で生活する」というホラー。

 シェアハウスということで群像劇的というか、もっと登場人物が多いかと思いましたが、わりと小規模なタイプ。
 とはいえ、物語終盤で明かされるは入居条件がかなり特殊なので、そりゃ入居できないよねと。

 訳ありハウスの入居者たちは、やはり訳ありな人々ばかり。思えば登場人物の九割が、社会の裏街道を歩くような方々ですね。
 最終的な結末を思うと、この人生は何だったのだろうかとすら思います……。

 本作の特徴は何と言っても「塔矢さん」。
 もの凄いイケメンだけど、霊感のある人からは嫌われる。実はジュージさんの過去作にもちらっと出ているそうで、ファンには嬉しい悪役です。
 この人が明らかにヤのつく自由業な感じで、主人公たちをいわくつきの物件に押しこめ、逃げるなと契約している元締め。
 作中で語られるその所業も、実際にやってみせることも、普通の神経じゃ思いつかないだろうということばかり。
 常軌を逸した彼の思惑は、いったいどこにあるのか? というのも、本作の見所の一つでしょう。登場人物のほぼ全員から、そして読者からもヘイトを買っていることは間違いないのですが、あまりにも突き抜けすぎてすがすがしいです。これで終わりとは思えないな~!