屈服するか、抗うか。読者の技量が試される、「人間」を描いた随一の作品。

読者の技量が試される作品、と言ってしまうと作者様を不快にさせてしまうかもしれませんが、実際はそうです。

誰もが答えを探そうとして、見つけられないまま、読者それぞれが作中にある「点」と、自分の中にある「点」を繋げて、自身の中から答えを導き出してしまう。

そうして誰かが出した答えに、「そういう見方もできるよね」という共感は起こるかもしれませんが、諸手を挙げて賛同できる人はほとんどいないのではないかと思います。

もしかしたら、初めから答えなんてないのかもしれません。

それでも、誰もがそれを求めてしまい、この作品の底知れない深みに嵌ってしまうのです。



この作品と出会ってから半年以上が経過し、何度何度も読み返して、今現在レビューを書いてる僕自身も、まだそれがどこにあるのか、辿り着けていません。

ただただ、どうしようもなく圧倒されています。

納得させようとしてくる他者の言葉に、抗い続けている自分がいます。

本当の意味で、この作品を「読める」ときが来るのだろうかと、今なお思考し続けています。




この作品が本当の意味で「読まれる」ことを願い、託す思いでこのレビューを書かせて頂きました。

一人でも多くの人に読んで欲しい。

そして、力の限り思考して欲しい。

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