不器用な冬マフラー

夢月みつき

ほかほかな彼氏と彼女


「不器用な冬マフラー」表紙イラスト

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16817330657966151213


〇登場人物紹介〇


増田 信二ますだしんじ

雪菜一筋な23歳のごく普通の男性。ファストフード店でバイトをしている。


間宮 雪菜まみやゆきな

信二一筋だが、恋愛ドラマの俳優が大好きな22歳の女性。少し手先が不器用。

本人いわく、料理は得意らしい。

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ある冬の昼下がり、コートを着込んだ男性が

あったか、ふんわり肉まんを袋いっぱいに買って歩いている。

彼の名は、増田信二ますだしんじ。ファストフード店でバイトをしている、23歳のごく普通の青年だ。

信二の彼女は、肉まん好きで買って帰るといつも、喜んでくれる。

今頃彼女は、肉まんによく合うお茶を用意して、待っているだろう。

「さむっ! 早く帰ろう。」

信二は寒さで震えながらも、ポケットの中に手を突っ込んで何かを確認すると、頬がゆるんだ。



アパートの一室でお茶を用意して

信二を待っている女性がいる。彼は肉まん好きの雪菜のために

いつも、たくさん買ってきてくれる。

彼女の名前は、間宮雪菜まみやゆきな

雪菜は信二のことを思うと、ほんのり胸が暖かくなり笑顔になる。



もうすぐ、2人が付き合って2年になる。

そろそろ、彼の方から…

そう思うと彼女の胸はときめいて来た。

お茶のほかに何か、気の利いたものを用意しよう。



雪菜は、信二のためにサプライズで手編みのマフラーを用意していた。

それは不器用な彼女が、彼を想って一生懸命編んだもの。

「ふふっ…不格好だけど、信二。喜んでくれるといいな。」



その時、インターホンが鳴って信二がドアを開けて雪菜の名を呼ぶ。

「ただいま雪菜。肉まん買ってきたよ~」

「おかえりなさい!信二、寒かったでしょ」

雪菜は信二に駆け寄り、マフラーを彼の首に巻いて頬にキスをした。



「雪菜、今日はどうしたの?それにこのマフラー」

いつもはあまり、甘えてこない雪菜に信二は戸惑いながらも内心、胸が高鳴っていた。

「あのね?これ、私が編んだのよ。苦労したんだから~」

「そっか、それは嬉しいな。ありがとう。良く編めてるよ。」

信二がにこにこ顔で褒めると、雪菜は頬を桜色に染めて喜んだ。



2人で肉まんを食べたあと、信二は雪菜と話しをした。

「なあ、雪菜。俺達もう、付き合って2年だけどさ…そろそろ」

(来たっ!)

雪菜は心の中でそう思った。

「そろそろ、俺達結婚しないか? 幸せにするよ。俺、今はこんなだけど…

良い仕事に就いて必ず、君を幸せにするから!」

信二は真剣な顔で雪菜を見つめ、ポケットから銀色のハート型の石がはまった指輪を取り出すと、雪菜の前に差し出した。

「今は…こんなおもちゃみたいな。指輪だけど…」



信二は恥ずかしそうな表情をしながら、指輪を雪菜の左手の指にゆっくりとはめた。

雪菜は、指輪をはめられて、突然の信二のプロポーズに涙があふれた。

「ありがとう。信二!こんな私で良いの?」

「ああ、君じゃなかったらこんな恥ずかしいこと、言わないからな。」

信二が珍しく照れている。



「好きだ。雪菜…」

「私もよ。信二。私、あなたと一緒なら……」

2人に甘い雰囲気がただよい、信二は雪菜を抱き寄せると誓いのキスをした。




(終わり)

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最後までお読みいただきありがとうございます。

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