北部九州には遊園地が少ない。そこに住む人々にとって、観覧車は少し特別なアトラクションだ。ゆっくりと空を巡るアトラクションが、海に沈む。海底に横たわるテーマパーク、その圧倒的なビジュアルが、主人公が死を想う感情に接続され、心を打つ。そしていつまでも回り続ける観覧車は、誰かにとってのあのキーホルダーになって、いつまでもポケットに残り続けるのだろう。
六千字足らずで、こんなに素晴らしい物語が書けるとは。回り続ける観覧車というのが、味わい深いメタファーになっていると思いました。
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