カクコン9授賞式レポート
◆自己紹介
カクヨムWeb小説短編賞2023、エッセイ・ノンフィクション部門で「スローライフは、延々と。」が短編賞を受賞させていただきました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330668105629734
中間選考のあるカクヨムコンで、本作を選考の舞台に押し上げてくれたのは、応援して下さった皆様です。ありがとうございました!
カクコン10の戦いの火蓋が切って落とされた今、来年の授賞式の舞台にのぼるのはあなただ! という気持ちでレポートさせていただきたいと思います。
◆授賞式
(株)KADOKAWA様よりご招待をいただき、はせ参じました首都東京。
粉雪舞い散る北海道から羽田空港へ降り立つと、その暖かさにまずびっくりです。
迷路のような路線図とにらめっこし、慣れないヒールによろめきながら、なんとか定刻に会場にたどり着くことができました。
アホほど緊張しながら、授賞式会場を見渡しますと、女性は結婚披露宴のお呼ばれ服的な華やかな装いの方が多く、スーツ姿の方もちらほら。
男性はほぼ全員スーツで、ビシッと決まっております。
そして授賞式が始まる前から、知り合いらしき作家さんたちの親しげな談笑が響いてきます。
小さくなって座っていると、短編賞の神埼あきら様がお見えになって、「わー! 会えて嬉しいです。心細かったよー」となりました。
はるこむぎ様もいらして、隣の席が埋まると「短編小説団結成!」みたいな強気になり、背筋がピンと伸びました。
授賞式の会場では「第9回カクヨムWeb小説コンテスト」大賞と「カクヨムWeb小説短編賞2023」短編賞の受賞者が、壇上に上がって賞状をいただくことができます。
大賞の先生方はすでに書籍の発売日も目前に控え、受賞の姿も堂々たるもの。それはそれは素敵でした。
私はといえば、他の方が表彰される姿でイメージトレーニングして立ち上がったのにも関わらず、手足が同時に出るかというほど緊張し、賞状をいただいた時には「ありがとございましゅ!」みたいな変な声が出ました。
その後、円城 塔先生からお祝いのスピーチを頂戴したのですが、二列目席で円城先生の生のお声を拝聴できるというのは……なんというか、生きてて良かったです。
ここで、円城 塔賞に応募した皆様へ、とても素敵なお土産話をプレゼント。
円城先生は、このたびの円城 塔賞に応募された二千を超える作品を、すべてご自分でお読みになった上、評価していったそうです。
その誠実な仕事への尊敬と感動もさることながら、自分の作品への評価が、今も円城先生の手元に保管されていると思ったらすんごい興奮しませんか?
尻込みして円城 塔賞に応募しなかったことを悔やみながら、先生のお話を拝聴して参りました。
カクヨムの「運営さん」であるKADOKAWAの皆様からもお祝いのお言葉をいただきました。
カクヨムコンが「日本最大のコンテスト」を名乗れるのは、カクヨムユーザーが全力でこのコンテストに挑んでくれているからなんだよ、というお話がとても嬉しかったです。
まだ書き始めたばかりだけど、読んで応援しているだけだけど、そんなあなたがカクコン10に無くてはならない大切なチカラの源なのです。
みんなで、楽しんでカクコン10を盛り上げましょう!
◆スキマ時間
授賞式から謝恩会までに少し時間がありますよとアナウンスされると、受賞者たちの名刺交換会が始まりました。
昨年に続いて二冠の神崎あきら様が「作家名刺を持ってる人が多かったよ」という大変ありがたい事前情報を下さったので、私も名刺入れを握りしめて立ち上がります。
真っ先に短編部門のおふたりと交換させていただき、そのあとは目が合ったら〇ケモンバトルの精神で、お願いします!と突撃しました。
どなたも笑顔で名刺交換に応じて下さって、チョロい私はすぐに、優しい……好き。推します! と、ファンになりました。
授賞式での席は部門ごとに固まっておりますし、謝恩会会場までの移動も受賞部門単位で行われました。
授賞式&謝恩会が不安でたまらないよという初受賞者は、ぜひ同じ部門の方の作品を読み、ちょっと知り合いになっておきましょう。
会場の中に誰かひとりでも知っている人がいると、とても心強かったです。たくさんお話してくれた神崎あきら様とはるこむぎ様には特大の感謝を申し上げます。
また、当日の雑談ネタは「あなたの作品を拝読しました、ここが素晴らしかったです」が最強だと思いました。
もっとたくさん読んでいけばよかったなぁと後悔していますが、これからほとんどの作品が書籍化またはコミカライズの予定。
まだ出会っていない作品は、カクコン9受賞者箱推しスタイルで、買って応援していく所存です!
◆謝恩会の乾杯
受賞式は比較的小さな部屋で行われましたが、謝恩会会場は大ホール!
この部屋を埋め尽くす人が全て、『物語をつくること』に携わる人たちなのですから圧巻です。
会場前方に設置された巨大スクリーンでは、KADOKAWAの書籍化作品が華やかに宣伝されています。
そして乾杯の挨拶のために、思いがけないゲストが壇上に姿を現しました。
「時雨沢恵一先生です」
うおおおおおおおおおお!
しぐさわせんせーーーい!
マジですか、学生の頃からずっとファンです。長い通学時間のお供に、先生の作品はいつも私のカバンに入っていました。
キノの旅はもちろん傑作なんですが、アリソンがもう大大大好きで、ヴィルとアリソンの関係が至高です。記号化できるような単純な地理に秘められた深い歴史と、刻まれた謎。そして『今度はまるのままで』であああぁぁぁ!(特有の早口)
なのに時雨沢先生のご挨拶は「乾杯の挨拶は短かければ短いほどいいので……乾杯!」
所要時間60秒未満! しぐさわせんせいすぎる!
あの「よせがき」とか「あとがさ」とかを書いてるだけのことはある。
一滴も飲めなくていいから、もっとお声を聴きたかった。閉会ギリギリまで乾杯の挨拶をしていてほしかったです……。
◆カクヨムの「運営さん」
その後は立食パーティーとなり、美味しいお料理をいただきつつ歓談の時間となりました。
途中で豪華賞品が当たる抽選会なんかも開催されて、宴席を盛り上げてくれます。
㈱KADOKAWAの社員さんたちや、カクヨムのシステム面を担当されている㈱はてなの社員さんたちが、かわるがわる受賞者たちを訪ねて下さいました。
カクヨムのDiscordでご存じの方もおおい「カクヨム編集長」とも、ご挨拶させていただくことができましたよ!
なかでも一番長くお話させて下さったNデスクから、これからの売れセンを聞き出そうという悪い心で「今、カクヨムが注目しているジャンルは何ですか?」と質問しました。
「ホラーがバズったので、ホラー部門はアツいジャンルではありますね」
そう仰った後で、でも、と続けた言葉がとても心に残っています。
「カクヨムを、全てのジャンルの物語をとりそろえた百貨店みたいな場所にしていきたいんです」
流行の先端も、伝統の文芸も、歴史も恋も怪奇も詩歌も。
どのジャンルの作品を手にとっても、カクヨムの品ならば間違いないと言ってもらえるような、そんな場所にしたい。だから、全てのジャンルの物語を、いつでもカクヨムは求めている。
そんなメッセージを受け取りました。
これが「読まれる物語」かどうか、書き始める前から立ちすくんでしまう書き手への、大きなエールです。
また、私の書いた「スローライフは、延々と。」にも内容に深く触れた感想を下さいました。
短編特別賞の作品についても、あれが個人的にすごく好きで……なんて話も伺えました。
さらにNデスクに、昨年行われた「嫁入りからのセカンドライフ」中編コンテストの選考に関わった人に会いたい! とお願いすると、会場の端っこまで私を案内して担当編集部の方に紹介してくださったのです。
最終選考まで残していただいた作品について、これからどこを伸ばしていけば良いのか何か糸口が欲しくて、ワガママを申しました。
お二方にお話を伺えたのですが、「お天気次第の……」と言っただけで「ああ!」とすぐに合点してくださったことに鳥肌が立ちました。
一年以上前の大賞でもない作品の内容を、お二人とも鮮明に記憶して下さっていて、天気次第で魔法出力の変わるヒロインの特性が、とか、口の悪い夫がなんだかんだ面倒見がいいところがツボだったとか、すぐに感想を聞かせてくれたのです。
キャラクター同士の掛け合いが面白かった、キャラクターの性格が魅力的だったと言ってくださったので、人物造形やセリフをこれからさらに磨くように頑張っていきます。
突然の訪問に、優しくご対応くださって本当にありがとうございました!
「嫁入りからのセカンドライフ」中編コンテストの中間選考突破作品を見ながら感じていたことなのですが、今回授賞式に参加して実感に変わったことがあります。
編集部はかなり真剣に応募された作品を読んでいる、ということです。
これはカクヨム運営側としては、あたりまえでしょ! と思うことかもしれませんが、多くの落選者は、自分の作品が誰にも読まれずに闇に葬られているかもしれないと嘆いています。
選外の作品も、ちゃんと編集さんたちの目を通り、心に残してもらえていました。
この事実に勇気づけられるのは、きっと私だけではないはずです。
◆これから
今まで画面の向こう側にしかいなかった、出版業界の方々と、大御所の作家先生、そしてカクコン9を勝ち抜いて、これから作品が書籍化される受賞者たち。
授賞式の会場に入っても、芸能人を見ているような、どこか遠い世界に紛れ込んでしまったような心地でいた私は、懇親会の終盤でゆっくりと視界のピントが合っていくような感覚になりました。
たくさんの読者様に応援していただいて、自分がこの場所に招いてもらえたこと。
憧れの大先生方と同じ空気を吸っていること。
こんなに大勢の人が、物語をつくるという仕事に携わっているのだということ。
あぁ、またここに来たいな。
そのために、もっと良いものが書けるようになりたいな。
短編賞の受賞連絡をいただいてから、ずっとフワフワしていた気持ちが、華やかな世界の雫を受けてギュッと固まっていくのを感じました。
記念すべき10回目のカクヨムコンテストは、さっそくの盛り上がりを見せて、まだまだ新しい作品の参加を待ち受けているところ。
長編部門10万文字の壁は高く険しく、短編部門の1万文字に凝縮する物語も難しい。
書いている時は苦しく、心折れそうになることもあります。
それでも、完結を目指してください。
次の授賞式に招かれるのは、あなたかもしれません。
おじさまと少女論 竹部 月子 @tukiko-t
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