第2話 街中でキャンプをする山田

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 山田は僕に次のようなことを聞かせた。つい一ヶ月前のことだそうだ。彼の話は時系列があちらこちらに飛ぶが、別にそれを気にしなくても話は楽しめる。それが彼のすごいところだろう。


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 ビルの立ち並ぶ大都会といった雰囲気だろうか。廃墟と化したその場所の過去はどういったものだったのだろうと、山田はよく想像をめぐらした。錆びた鉄や、コンクリートの割れ目に生える草花を見ると、その街自体がひとつの生命のように感じる。まるで自分が老いて死んでいくように、街もそうであるのだろう。山田は大きく深呼吸をした。それは彼の冒険の始まりを意味していた。

 山田はまず、食糧を探し求めた。散策をしていると、アーチ状の建造物を見つける。『アメ横』と書かれた看板を天辺に張り付けてあった。山田はそこを潜って、商店街跡を見て回った。生魚などが売られていたらしい、と山田は捉えた。しかし食糧として肉を探すのは賢くなかった。そもそもとかてなくなっているだろうし、あったとしても腐っている。

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山田の新世界紀行 今日の気分はトマト @Chiyokaze

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