第14話 入隊
色々あったが俺とオリヴィアは無事にギルド『ライトブルーニング』に入隊を許可された。オリヴィアは既に魔法の実力を認められていたため難なく入れた。
メンバーは俺とオリヴィアも合わせて10人ほどだ。この人数が多いのか少ないのか分からないが、名門の傘下という割には少ない印象を受ける。
「二人の入隊を歓迎するよ。さあ、今日は僕のおごりだ。何でも好きなものを食べてね」
店の中には食事ができる場所もあり、そこでリーダーが入隊祝いにごちそうしてくれるそうだ。俺とオリヴィアは礼を言うと運ばれてくる料理に舌鼓を打った。
「本当に美味しいです」
「それは良かったよ。この辺りの食材を運ぶためのルートは僕たちのギルドが道中でのモンスターの襲撃を防いだりして安全を確保しているってこともあって、なるべく美味しいものを仕入れてもらうようにしているんだ」
俺はあまりの料理の美味しさに思わず口がほころぶ。正直言ってこの寂れた街でこんな美味い料理にありつけるとは思っていなかった。なるほど、ここでこんな良いものを食えるのはこのギルドの努力の賜物でもあるのか。
「さあそろそろ自己紹介をしよう。さっきもみんなには紹介したけど改めて紹介するよ。今日、新規に入隊したタチバナとオリヴィアだ」
リーダーはにこやかに俺を紹介してくれているが、メンバーの態度はリーダーに合わせて渋々、俺たちを歓迎してくれているという感じだ。
すると先ほど、入隊時に俺と戦った男が口を開く
「俺の名前はカイだ。さっきはあんな態度を取っちまって悪かったな。これからは同じギルドの仲間だ、よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします先輩」
先程までの態度とは打って変わりやけに親し気に挨拶を交わすこのカイとかいう男。一体、何故だ?俺のことを認めたってことか?いやそれはないだろう……かなりぼろ負けだったからな。
そういえばカリウスのスキル『オルドレイ』を見てから態度が変わり始めたが、何かあるのか……?
俺はそんなことを考えていたが、この男が俺たちに自己紹介したのを皮切りに他のメンバーも次々と俺たちに自己紹介をし始めた。
なるほど……このカイという男は実質、このギルドを牛耳っているってことか。先程もそうだが、カイが入隊を阻んでも誰も何も言わず、メンバーはこの男の意見を重視しているようだった。
リーダーは典型的な良い人という印象だがこう言っては何だが威厳が足りないという感じだ。そこをカイが取り仕切ることで補っているということだろう。
今もそうだ。カイが自己紹介を始めるやいなや、他のメンバーも堰を切ったように自己紹介をしだした。つまり、リーダーを差し置いてカイの一挙手一投足にメンバー全員が注目しそれにならっているというわけだ。
しかし、一人だけ異質な雰囲気を放つ女性がいた。ブラウンのロングヘア―に端正な顔立ちで装備は恐らくガンナーだろか?カイの動向など気にも留めていない様子だ。一人だけ我関せずというクールな印象だった。
そして、その女性は一通り皆の挨拶が済んでから最後に口を開いた。
「私の名前はシャーロット。タチバナとオリヴィアだったよね?分からないことがあったら何でも私に聞いてね」
冷たい雰囲気をまとっていた彼女は案外、笑顔で気さくな挨拶をしてきた。ギャップがすごいな……
そして入隊祝いはこれをもってお開きとなった。ギルドが使っているという宿に俺とオリヴィアは案内され、そこが今日から俺たちの拠点となる場所になった。
「君、大丈夫?部屋の場所とか分かるかな?」
「いや……分かんないです。リーダーにはギルドの宿がこことしか言われなかったもので……」
「そっか、それじゃあ私についてきて。部屋とか宿の設備とか色々、案内してあげるよ」
シャーロットは俺に案内を申し出てくれた。初対面ではクールな印象を抱いていた彼女だが面倒見の良い人みたいだ。
超優しいな……こんな面倒ごとを買って出てくれるなんて……
「ここが君の部屋だよ。他に分からないことがあったら遠慮せずに何でも聞くんだよ?」
「ありがとう!助かります」
「それじゃあ私はオリヴィアにも案内してくるね。きっと困ってるだろうから」
このギルドは名門の傘下ということもあるのか他のメンバーはやけにエリート意識が高い人物が多かった。別にそれが悪いという訳ではないが絡みづらいのは事実だ。
しかし、シャーロットからはそんなエリート意識も微塵も感じず気軽に話すことができた。
見た目でクールとか気位が高そうとか勝手に思ってたけど気さくな良い人だった……勝手に決めつけちゃって申し訳ない。
俺はそう心の中で謝罪した。
俺だけが持つ固有スキル『テイマー』これはあらゆる生物を自分のペットとして従えることができるチートスキルだがそれを使って強キャラをペットにしまくったらイージーゲームすぎる。 @mikazukidango32
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