楽しみ笑うことを忘れず、のんびり今を眺めることも宝物なのです

書き出しが良い。
転勤先が異世界なのかと読者を一瞬驚かせ、どういうことなんだろうと続きを読ませてしまう書き方が上手い。

昨今の流行りである異世界転生ものに軽く触れながら、現実世界で体験した一年を描いているところに面白みを感じる。
一つのテーマを軸にしながら変化を多彩に描いているところが素晴らしい。

天川村の中谷さんと一緒に雪かきをして終わるラストが良い。
主人公は人事交流職員として、村に滞在していた。
でも春からも続けて生活していくと覚悟を決めたことで、ようやく天川村人になれたのかもしれない。
だから主人公は最後、小さくほほ笑むことができたのだ。