恋愛小説を題材に感想文を書いてみる
2限目 深すぎて溺死しかけた!恐怖の教養必須短編小説の巻
どうもどうも、
な ぜ ま た 来 た ?
第2回です。
今回からは恋愛モノの勉強のために読了した作品の感想文がネタの中心になります。前回よりイタくないはずですので、気を楽に(?)読み進めていただけると思います。
ではまいりましょう。
今回の恋愛モノ作品はこちら。
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┃★「花や今宵」/浅田次郎(初出1997年)┃
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読んだのは「月のしずく」という文春文庫から出版されている文庫本サイズ短編集で、収録されている中の一作になります。なので短編です。六十頁弱。
あらすじ。
三十回目の誕生日を迎えたものの愛人に祝ってもらえず沢村真知子(会社員)と婚約解消されたばかりの小心者の高木芳男(営業)が主人公。二人は終電で寝こけているうちに山梨に辿り着く。愛する者を失った知らない者同士が幻想的なロケーションで恋に落ちる。
あまりにも恋愛モノへの造詣が無さ過ぎてあらすじすら合ってるか自信ないっす……。たぶんそういう話だと思うんですけども。
「花や今宵」の冒頭には平家物語にもある、
行き暮れて 木の下陰を 宿とせば
花や今宵の 主ならまし
ググった意訳では、「道中に日が暮れて、桜の木の下をキャンプ地とするなら、桜の花がおもてなししてくれることでしょう」という雰囲気の意味でした。
おそらくこの歌が「花や今宵」という物語の肝なんだと思います。
で、一読した感想なんですけど、まずですね……「なぜコスパ悪くてリスクもあるのにこの物語の登場人物、モブまで不倫しとるん?」です……。
わからん。そこまでして恋愛ってしなきゃいかんのか?
女として始まってすらない紅粉にはかなり異次元の設定です。私一人では絶対に思いつかないし書こうと思わない登場人物達ですね。なぜなら思いつかないから。
えーっと、登場人物を整理します。
①ヒロインである沢村真知子。五年間愛人してた男に自身の三十歳の誕生日を祝ってもらえずヤケ酒します。
①-2:ヒロイン方のヤケ酒に付き合ってくれた同僚女性も社内不倫してます。上司の愛人?
①-3:ヒロインの不倫相手の男性。メールでやりとりしてる描写があったのでこちらも社内不倫ですね。妻子と戸建てを持ってます。真知子さんの誕生日を祝えなかったのは子供が熱を出したから、という言い訳でした。
②:男性の方の主人公である高木芳男。小心者だけど怒られながらも営業として働いてます。そして婚約者にフラれてヤケ酒してます。ヒロインとは全然違う業界で別の会社員です。
②-2:その婚約者。上司と不倫してます。バリキャリで業績芳しくない芳男と結婚するから不倫解消するわ、と上司に言ったらキャリアを質に取られて芳男を捨てました。
酷いな……。この中で不倫してないの②だけですよ。五人中一人。②-2の不倫相手を合わせたら六分の一か。
この設定を飲み込むだけで、もうわからん! となってしまいました。これからこれ読むの? って心が泣いてました。異次元~。
二人は終電でタクシーも無く、雨にも降られて同じような立場の人間はお互いしかいないので、仕方なく駅からほど歩いて辿り着いた旅館崩れのラブホに泊まることになります。
いや、仲良しかい!
なんで知り合いでも無いのにゆきずりの異性にヤケ酒後の終電逃がしの
スクールカースト底辺のコミュ障人間不信には思いつかない行動方針で、またしても躓きました……。いやまあ、二人が接触しないとラブストーリー始まらないからね。うん。そうはなるよね……。
展開は端折るんですが、結局この話の終わりまでに①と②は明確に結ばれた描写はありません。なので先にあらすじ書きましたが更にわかりやすく最近のラノベタイトル調にまとめますと、
『不倫相手に誕生日祝ってもらえなくて泥酔したら山梨まで来ちゃったがゆきずりの婚約者にフラれた知らない男となりゆきでラブホ行きました~本番は無い模様ですがキスはした~』
になるのかな。これだけ見るとかなり治安悪そうですね。
でもですね、ここで生きてくるのが予め触れておいた冒頭の歌だと思うんです。
おそらく「花や今宵」で浅田次郎先生が描いたのは、不倫三昧とかゆきずりでラブホ行っちゃいましたとかキャッチーでスキャンダラスなところではなく、恋心の埋葬なのでは、と私は思いました。大人すぎる~。一度読んだだけじゃわかんなかったよ~。
舞台の旅館崩れのラブホは人気の無い山間に建っており、見事な桜が見えるというロケーションです。本当は駅前から桜が咲いている描写があるんですけど、もう二人は恋心の死地へ赴き始めているんですね。たぶんですけど。
で、①②は知らない者同士だけど、だからこそプライベートな弱みを見せられずに、しかし傷心を抱えながら桜にもてなされた夜を一緒に過ごすことになるわけです。お互いに傷口は明らかに見せてはいないけれど、確かに息も絶え絶えの多量出血した状態であると、最後の方は見抜いている。
ちなみに平家物語では、平忠度を討ち取った岡部六弥太が冒頭の歌を辞世の句とし
て
ということは、①②も恋と愛に彩られた道を来たある意味での「名手」で、討ち取られ戦死した「忠則」である。恋と愛の戦に敗れた後に、桜に歓待された死せる者である。と想像できます。
わからんかったよ~。凄いな浅田次郎先生!
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恋愛モノとかかるーく私言っちゃったんですけど、最初の授業からかなりレベルの高い作品出てきました。深い……。私の精神持つのか? もう心が悲鳴を上げてダークファンタジーとか求めてます。
というか、平家物語などという教養を求められる引用がある作品を選んだ時点でヤベェと気付けない私のレベルが低すぎたのか。ひのきのぼうで挑む作品ではなかったのだな。うむ。
あ、前回言い忘れたのですが、今回からやっていく読書感想文のネタ元は書籍化されている作品からになります。前提として作品を貶めたり、ダメ出ししたり、馬鹿にすることはありませんので安心してください。十人いれば十の感想があります。その中のひとつの感想として楽しんでいただければこちらも報われます。オッス。
それから、カクヨムさんという場をお借りしてやっておきながらアレなんですけど、WEB小説やアマチュア投稿作品のレビューなどはここではやらないつもりです。ですが、もし! 万が一! 自分の作品を恋愛音痴の紅粉に読ませてここでネタにしてほしい! という奇特な方がいましたら(いないと思いますが)、紅粉のTwitterアカウントへDM下さるか、ここのコメントでも構いませんのでご一報ください。
また、この塾は不定期開講なので恐縮ですが、更新した際には同様、紅粉のTwitterアカウントでその旨お知らせするつもりですので、お気に召した方はフォローしてくだされば幸いにございます。
ということで〆ます。
ここまでお付き合いくださりどうもありがとうございました!
また物語と頁の狭間でお会いしましょう。紅粉 藍でしたーノシ
言い逃げ!恋愛物語塾 紅粉 藍 @lemondodo-s_island0510
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